英国媒体連合(AOP:Association of Online Publishers)とデロイトは、2021年第2四半期(4-6月)における英国のデジタルパブリッシャー(B2C 12社、B2B 4社)の業績を発表しました。収益は前年同期比40.8%増の1億3,780万ポンド(約215億円)となり、すべての収益分野で成長が見られたとのことです。
92%のパブリッシャーが収益増加を報告
AOPとデロイトによると、調査対象となったパブリッシャーの92%が収益増加を報告。当四半期で特に成長が見られたのはディスプレイ広告で、前年同期比42.1%増の5,630万ポンド(約87億円)の収益を記録しました。サブスクリプション収益も23.1%増加したとのことです。
2021年6月までの1年間で見ていくと、デジタル収益は前年比21.8%増の5億5,730万ポンド(約869億円)を記録。これは、1年間でサブスクリプション収益が1億2,960万ポンド(約202億円)、ディスプレイ広告収益が2億2,480万ポンド(約350億円)となり、それぞれが大幅に増加したことが要因だとしています。
B2CとB2Bの間にある成長率の差
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大部分のパブリッシャーが収益増加を報告していますが、B2CとB2Bの間には成長率の差があるようです。B2Cパブリッシャーは、スポンサーシップ(76.9%増)とディスプレイ広告(48.4%増)の大幅な増加に後押しされ、当四半期の収益は前年同期比46.5%増の1億2,700万ポンド(約198億円)となりました。
一方のB2Bパブリッシャーの収益は、前年同期比で5.1%減少。これは、サブスクリプション(15.9%減)、クラシファイド広告(99.8%減)、ディスプレイ広告(51.5%減)の収益の減少が原因だとしています。
コスト削減や広告以外の収益源確保が今後の課題
パブリッシャーの課題について、新型コロナウイルスのパンデミックに影響を受けてか、調査対象となったパブリッシャーの67%が、今後1年間でコスト削減が最優先事項になると回答。加えて、前年比33%増の100%が、広告以外の収益源確保も優先事項になると回答したとのことです。
デロイトの通信・メディア・エンターテインメント部門のリードパートナーであるDan Ison氏は、以下のように述べています。
「英国のデジタルパブリッシャー市場は、当四半期の収益が前年同期比40.8%増となり、驚異的な成長を遂げています。当社最新のデジタル消費者動向調査では、英国のユーザーの23%がパンデミック開始前よりも今の方がニュースを読む傾向にあり、83%がフェイクニュースが今日の大きな問題であることに同意していることが明らかになりました。ユーザーは、質が高く信頼できる情報を消費することを望んでいます。今の課題は、消費する価値のあるコンテンツをパブリッシャーが提供し、ユーザーのロイヤリティを強化することです」
コスト削減や広告以外の収益源確保などの課題に、業界全体として今後どのように取り組んでいくのかが注目さ