【メディア企業徹底考察 #48】コロナから回復も、「まんだらけ」完全復活の鍵はどこに?

古本や中古アニメグッズなどを扱う株式会社まんだらけの売上高が完全回復しきれていません。2020年9月期の売上高は前期比10.4%減の90億1,700万円、2021年9月期は6.8%増の96億2,600万円となりました。やや回復したものの、2019年9月期に到達した100億円に届きません。2022年9月期の売上高は96億6,700万円と予想しており、横ばいが続きます。

■まんだらけ業績推移(単位:百万円)

決算短信より筆者作成
※営業利益の目盛は右軸

まんだらけはECにも注力をしていましたが、新型コロナウイルス感染拡大による外出制限の影響を受け、全国に13ある実店舗が大打撃を受けました。2020年9月期の売上減がそれを如実に物語っています。

利益率もやや悪化しています。2021年9月期の営業利益は6.2%、2022年9月期は6.3%で横ばい。コロナ前は8.8%でした。

まんだらけは2014年9月期において営業利益率は13.3%もありました。コロナ前のゲオが5.4%、ハードオフが5.4%、ブックオフが1.9%でした。まんだらけは古本や中古グッズを扱う業態の中では利益率の高さが際立っていました。段階的に営業利益率を落とし、2021年9月期は全盛期の半分以下の水準です。

まんだらけの経営課題はこの営業利益率の低下であり、その原因の多くは人件費が嵩んでいるためです。

売上高が縮小する古本と同人誌

まんだらけが減収となった原因から見てみます。下のグラフはカテゴリー別販売実績です。古本のイメージが強いまんだらけですが、実はプラモデルやフィギュアなどのTOY(橙色)に支えられています。TOYの2021年9月期の売上高は52億8,000万円で全体の54.9%を占めています。

有価証券報告書より筆者作成

古本(青色)は緩やかに縮小が続いています。2013年9月期の売上高は17億2,000万円で全体の18.2%を占めていましたが、2021年9月期は11億8,600万円となり、構成比率は12.3%まで下がりました。同人誌(灰色)も同様に縮小しています。2013年9月期の売上高は18億6,600万円で構成比率は19.7%でしたが、2021年9月期は11億400万円で11.5%まで下がりました。

古本、同人誌は新型コロナウイルス感染拡大の影響はほとんど受けていません。毎年売上高の伸び悩みが続いていました。全カテゴリの中で旺盛に伸びていたのがTOYであり、まんだらけの業績はその伸びに支えられるという事業構造をしていました。

TOYの2013年9月期の粗利率は40.6%でしたが、2021年9月期は48.3%まで上がっています。稼げるカテゴリーの利益率を段階的に引き上げたものと考えられます。

グラフのカテゴリの中でコロナ禍の2020年9月期、2021年9月期に急減しているものがあります。「その他」です。まんだらけはトレーディングカードやアイドル、DVD、宝塚グッズ、PCゲームなど、マニア向けのグッズを数多く取り揃えています。この中で特に大打撃を受けた分野が「アイドル」です。

下のグラフは矢野経済研究所の「「オタク」市場に関する調査を実施(2021年)」よりカテゴリ別市場規模をグラフ化したものです。アイドル(赤色)は2019年の2,610億円から、2020年は1,400億円まで46.4%も数字を落としました。

※矢野経済研究所「「オタク」市場に関する調査を実施(2021年)」より筆者作成

アイドルはイベントの自粛に追い込まれ、グッズの販売が滞ったことから市場が急速に縮小しました。矢野経済研究所によると、アイドル市場は自粛緩和とともに市場回復は見込まれるものの、コロナ禍以前の状況に戻る見通しはたっていないとしています。まんだらけも長期的にこの影響を受けるものと考えられます。

すなわち、これまで以上にTOYに依存することになり、バランスが悪い事業構造が進むのです。

止まらない社員、アルバイトの人件費上昇

まんだらけの営業利益率が長期的に下がっているのは、販管費率が上昇しているためです。2014年9月期までは販管費率が4割を切っていました。2020年9月期は5割を超え、2021年9月期も5割に近い水準で推移しています。

■原価・原価率と販管費・販管費率の推移(単位:百万円)

決算短信より筆者作成

販管費の大部分を占めているのが人件費です。2021年9月期の役員報酬は1億5,700万円(販管費の3.4%)、給与及び賞与は14億3,600万円(販管費の30.8%)、アルバイトに支払う雑給は6億1,700万円(販管費の13.2%)でした。この3つで販管費の47.4%を占めています。

■人件費(単位:千円)

有価証券報告書より筆者作成

まんだらけは2020年9月期に売上高を売上高を大幅に落とし、前期比10.4%減の90億1,700万円となりました。しかし、役員報酬は2019年9月期の1億3,200万円から1億5,000万円へと13.4%引き上げられています。新型コロナウイルス感染拡大により、小売業や飲食業を中心に役員報酬を引き下げる会社が相次ぎました。まんだらけはその動きに反しています。

社員の人件費上昇も頭の痛い問題です。2014年9月期は1人当たりの支給額が376万円でしたが、2021年9月期は394万円となり、4.8%上昇しています。まんだらけは2016年9月期から2019年9月期までは増収が続いており、社員の人件費を引き上げることには一定の合理性がありました。しかし、2020年9月期は売上高に占める給与額が15.9%を占め、2021年9月期も14.9%と高い水準に留まっています。

アルバイトの人件費上昇も止まりません。2014年9月期は売上高に占める割合が3.8%でしたが、2021年6月期は6.4%となりました。都内を中心に時給が上昇し、アルバイトが集まりにくいことから採用コストも上がっています。

簡単に人件費を引き下げることが難しいとはいえ、会社の売上高の伸び悩みは鮮明になりました。人員整理をして利益が出せる体制にし、ECのプロモーションに費用を投じてEC事業の売上拡大を狙うか、出店への設備投資で実店舗による古本のシェア拡大を狙うか。経営戦略の大幅な修正をするタイミングがきているように見えます。

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