3rdパーティCookieの終焉がいよいよ間近に迫ってきました。また、世界的なプライバシー規制によって、ユーザーとデータの関係も変化が起きています。Cookieレスの世界を迎えるに当たってパブリッシャーはどのような手を打っていけば良いのか? パブリッシャーを支援する様々なソリューションを提供するPiano社のホワイトペーパーを紹介します。
サブスクリプションの契約数の増加は、コンテンツ収益化戦略にとってプラスの指標です。ビジネスモデルにより、この指標はビジネス全体に適用できることもあれば、一部のみに機能することもあります。コアな消費者とそのニーズの全体像を包括的に理解することは、製品と価格の決定に役立ち、消費者がその企業をサポートしたいと思うだけでなく、消費者と企業双方の利益につながる顧客体験を構築することができます。
以下でサブスクリプションモデルを最適化するための推奨事項をご紹介いたします。
データを慎重に扱っていることをユーザーにわかりやすく提示する
2020年のマッキンゼーの調査によると、回答者は「企業が製品に関連する情報のみを要求したり、要求する個人情報の量を制限している企業をより信頼する傾向がある」と答えています。これは「企業がデータ管理に対して慎重なアプローチをとっている」ということを消費者に示すものだからです。データを共有する消費者に提供される「価値交換(特典)」を明示することも、より多くの信頼を得ることにつながり、その結果、時間をかけて消費者から、より関連性の高いデータを収集することができるようになるのです。
全ての既知ユーザーのコンバージョンを狙う必要はない
ID5のRoche氏は「ログインさせることだけが唯一の道だと考えるのは間違いだ」と発言しています。「ログイン専用のインターネットは必要ありません」 と同意見を述べているのは、Dotdashの広告・パートナーシップ担当シニアバイスプレジデントであるSara Badler氏です。また、彼女は「Eメール登録は、確かに活用できるところには活用したい施策ですが、Cookieの長期的な代替策になるとは思えない」と発言しています。
様々な異なるオファーをカスタマイズしてエンゲージメント向上を図る
Pianoのデータでは、パーソナライズされたコンテンツレコメンデーションや、特定の興味・関心に合わせてカスタマイズされた複数のオファーを見たユーザーは、より高額のサブスクリプションプランのオプションを選択する可能性の高いことが示されています。
統計的には、年額会員は月額会員よりも、初年度以降に更新する確率が65%高いですが、コンバージョン率は一般的に月額会員が高いという結果が出ています。そこで月額プランと年額プランの2択のみではなく、3つ目のオプションに、2年や3年契約などの更に高額なプランのオプションを加えてみてください。消費者は心理的に中間のオプションを選択する傾向にあり、Pianoでは3つ目の選択肢を加えた際に、収益が50%増加しました。
過剰な割引提供に抵抗のある場合は、特別なキャンペーンや、有料トライアルオファーにより、ユーザーをサブスクライバーへとコンバージョンさせるのが効果的です。

競合他社を分析する
業界のサブスクリプションモデルの長所と短所を評価することは、企業戦略の指針となり、またよくある落とし穴を避けるのに役立ちます。それに加え、常に将来的なスケーラビリティ(拡張性)を考慮する必要があります。「全てのパブリッシャーが、最大の発行部数を誇る大手新聞社と同じサブスクリプション契約率を獲得することはできません。」とRoche氏は指摘していますが、規模別に考え施策を打つことで、同等の結果を得ることは可能です。
また、サブスクリプションの戦略はローンチ後も同じ内容が継続的に機能するわけではないということを念頭におかなければなりません。エンゲージメント向上、コンバージョン促進、定着率向上のためのそれぞれの施策をビジネス成熟度に合わせ変えていく必要があります。
例えば、新しいサブスクリプションサービスの提供を開始する際に、ロイヤルユーザーは初期段階でコンバージョンすることが多いですが、そのタイミングで重要なことは、トライアルオファーや特別プロモーション価格の提供などで、エンゲージメントの低いユーザーに対するコンバージョン対策を打つことです。また、ブランドをよく知らない訪問者への訴求力を高めるために、製品を改良する必要があります。
サービスを改良する際には、コアユーザーと消費者のモチベーションをより深く知ることが重要です。また、サービス全体の構造やオーディエンスとの関係性が変化する可能性を加味して、エンゲージメントと価格の理想的なバランスを見つけておくことを忘れてはなりません。変化が生じた際には可能な限り透明性を保ち、常にオーディエンスファーストであることをオーディエンス全体に再認識してもらうことが大切です。


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Pianoによる ホワイトペーパー「Cookieレス時代の必勝ガイドブック」では以下のような項目を解説しています。ぜひダウンロードしてみてください。
・すぐに実践できる施策
1stパーティデータに再投資する
段階を経てユーザー認証へと導くアプローチ
社内のコンプライアンスレビュープログラムを作成
IDとデータの混同はNGである
・1stパーティデータの重要性
・遅れを取らないようにするためには
コンサルタントを雇う
同意管理プラットフォーム(CMP)について
IDの管理パートナーについて
パブリッシングや広告パートナーとの率直な議論を行う
セキュリティ上の脆弱性を補強する
測定方法の見直し
既存のソリューションをテストする
まとめ
・サブスクリプションモデル・ベストプラクティス
1.データを慎重に扱っていることをユーザーにわかりやすく提示する
2.全ての既知のユーザーのコンバージョンを狙う必要はない
3.様々な異なるオファーをカスタマイズしてエンゲージメント向上をカスタマイズ図る
4.競合他社を分析する
・公共メディアから得た教訓
オーディエンス第一主義