「データを軸にメディアの価値を向上させる」メディアジーン芹澤CSO

Media Innovationでは、メディアのグロースを支援するプロダクトを提供するPIANOの協力の下、オンラインカンファレンス「Media Growth Summit 2022」を5月27日(金)に開催します。業界のキーパーソンがメディアの成長に向けた戦略を語ります。

メディアジーンは「GIZMODO」「Lifehacker」「Business Insider Japan」「ROOMIE」など多彩なデジタルメディアをパブリッシャーです。専門性の高いメディアを多数運営し、「ココロ揺さぶるメディアで未来を創る」を標榜しています。同社でも昨今の広告の逆風はあり、新しい取り組みを進めているといいます。

Media Growth Summit 2022にも登壇する、同社取締役CSOの芹澤樹氏に聞きました。

芹澤樹 株式会社メディアジーン 取締役 CSO
新規メディアの立ち上げ、新規事業の開発に従事。 クラウドファンディングプラットフォーム「machi-ya」ほか、 複数ある自社メディアの広告、コマース、新規ビジネス開発ならびに、 「GIZMODO JAPAN(ギズモード・ジャパン)」「ROOMIE(ルーミー)」 「ライフハッカー 日本版」の事業責任者も務める。 またパブリッシャー連合「パブリッシャー・マネタイゼーション研究会」幹事も務める。

―――いまメディアとして直面している課題は何でしょうか?

色々なテーマがありますが、パブリッシャーとして保有する「ファーストパーティデータの価値」を向上させるという点に集約されると思っています。その為の手段として、コマース、サブスクリプション、イベントなどの要素があり、メディアジーンではそれぞれの取り組みを進めています。

今後は、これらの施策を調和させる事によって、どうやって、より大きな価値にするかというのが鍵になります。例えば、Amazonプライムに加入すると、動画も視聴できます。こういう分かりやすいメリットは必要です。例えば、コマースで何かを買うと、それに関するコンテンツが提供される、というような仕組みは読者によりメリットを与えられると思います。

また、僕らのデータの価値をよりクライアント様に明確に立証していく必要もあると思います。Netflixのデータであれば「一人当たりが数千円を動画に支出する」という明確な経済的な価値が示せます。でもメディアジーンのデータはそこまで到達していません。ここを示す事も今後の重要な観点だと思います。

特色ある様々なメディアを展開するメディアジーン

―――直近では「CoSTORY(コストリー)」という共同購入のプラットフォームも立ち上げられましたね

ここ数年間、コマースへの取り組みを進めてきました。アフィリエイトコマースに始まって、クラウドファンディングの「machi-ya」、自社ECの「ギズ屋台」など幅を広げてきました。一方で、メディアの広告やコンテンツを通じて商品購買を促進するという点では「使える枠の限界」を想定せざるを得ません。

CoSTORY」はこれを超える可能性のある取り組みの一つで、ソーシャルコマースの共同購入のプラットフォームになります。簡単に言うと、皆で買うと安くなるよ、という仕組みです。これを提供側から見ると、ユーザーが自発的にプロモーションをしてくれる事になるので、メディアの枠を超える可能性があります。

また、今までの買い物の概念を変えたくて、購入履歴を公開するような施策を考えています。例えばインフルエンサーの方が買った履歴を公開することで、「彼らが買うものが欲しい」という憧れに対する消費のようなものを喚起できないかと考えています。

共同購入というソーシャルコマースを楽しめる「COSTORY」

―――コマースではD2Cの支援も増えているようですね

そうですね、メディアと親和性の高いD2Cブランドであれば有効な支援が行える事が分かってきました。また、D2Cブランドとの取り組みは、持ちうるデータを大きく広げるため、その価値向上にも繋がると思っています。

―――サブスクリプションを提供するメディアも増えてきましたね

いま「DIGIDAY日本版 」と「BUSINESS INSIDER JAPAN 」で有料のサブスクリプションを提供しています。サブスクリプションはユーザーとの貴重なタッチポイントになります。非常に解像度の高くユーザーと接する事ができるようになります。一方で、収益の面では、新聞社のような大メディアでも本紙を超えるのに苦労しているように、ポートフォリオの一つであって、過剰な期待は禁物だと思います。

―――広告のビジネスはいかがでしょうか?

記事広告は非常に好調です。コマースで目指した「売れるメディア」というのがクライアントにも浸透して、あの媒体に出稿すれば売れるから出そう、という意思決定もされるようになってきました。Amazonの大きなセールに合わせて出稿するというケースも増えました。

これまでのメディアの広告は編集部が想定したペルソナに合致したクライアントに提案して、新商品の発売時に獲得するという主流でした。ただ、実際に物が売れるという事が証明できつつあり、通年の提案が可能になってきました。まだ日本企業における広告費と販促費の区別など壁はありますが、記事広告については前向きです。

一方でプログラマティックの運用型広告については厳しい状況が続いています。これは多くのクライアントの買い付けの集合体で、一社で取り組める事は殆どなく、メディアジーンではJIQDAC(一般社団法人 デジタル広告品質認証機構)の認証の取得もしましたが、打つ手が限られているというのが現状です。

―――そこも今後はファーストパーティデータが鍵になっていきそうですね

全体の大きな戦略としてはファーストパーティデータを、メディアに価値にどう落とし込んでいくか、という事になると思います。また、それを実現するためには、「広告枠を売る」という従来の考え方から離れて、真にメディアが何を提供できるか、という視点を持たなくてはなりません。記事だけでなく、メディアとして届けられるコンテンツが何か、そうした考え方を編集者も持ち全社で推進していく必要があります。

Media Growth Summit sponsored by Piano
・日時 2022年5月27日(金) 13:30~17:00
・会場 オンライン開催(Zoomを予定)
・会費 無料 ※要事前登録
・主催 Media Innovation (株式会社イード)
・共催 PIANO Japan株式会社
・備考 人数が定員に達した場合、早期に申し込みを終了する可能性があります

※本イベントは無料開催となりますが、Media Innovationの会員登録(無料可)が必要です

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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