【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?

キャラクターのライセンスビジネスなどを手掛ける株式会社サンリオが、2022年8月2日に早くも2023年3月期通期の業績予想を上方修正しました。売上高は従来予想を5.1%上回る574億円、営業利益は56.7%もの増加となる47億円を見込んでいます。 国内外のロイヤリティが前期と…

企業 その他
【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?
  • 【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?
  • 【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?
  • 【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?
  • 【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?
  • 【メディア企業徹底考察 #70】ライセンス収入大幅増で業績好調、サンリオに死角はあるか?

キャラクターのライセンスビジネスなどを手掛ける株式会社サンリオが、2022年8月2日に早くも2023年3月期通期の業績予想を上方修正しました。売上高は従来予想を5.1%上回る574億円、営業利益は56.7%もの増加となる47億円を見込んでいます。

国内外のロイヤリティが前期と比べて大幅に伸びていることや、テーマパーク「サンリオピューロランド」の集客状況が改善しました。

サンリオは2022年6月に開催した定時株主総会で新取締役3名の就任を決議。新たな経営体制で好スタートを切りました。しかし、中長期的には苦戦が予想されます。

通期の営業利益率は4.8%→8.2%に回復

サンリオの業績が予想通りに着地をすると、新型コロナウイルス感染拡大が深刻化する前の2020年3月期の売上高、営業利益を上回ります。2021年3月期は32億8,000万円の営業赤字となりましたが、V字回復を果たしました。

■サンリオ業績推移

決算短信より筆者作成
※営業利益率の目盛りは右軸

サンリオの業績回復への貢献度が高かったのは、主力となる国内の物販。3年ぶりに全期間にわたっての営業が可能となり、店頭イベントの実施で集客に成功しました。

■前年同期比増減に対する各地域の影響額(売上高・営業利益)

営業制限の撤廃や、消費者のコロナに対する警戒感が薄れたことにより、サンリオピューロランドやハーモニーランドの入園者も増加しています。2022年4-6月の累計入園者数は前年同期間比でサンリオピューロランドが190.5%、ハーモニーランドが182.8%となりました。入園者はおよそ2倍に膨らんでいます。

ピューロランドは3期ぶりに1Qの黒字化を実現しました。

営業利益においては、アニメやゲームキャラクター、アーティストとのコラボレーション企画が好調に推移し、新規案件の獲得数が増加するなど、ライセンス事業が改善効果に一役買っています。

中国はゼロコロナ政策に転換し、未だに厳しい行動制限が課されています。サンリオはヘルス&ビューティー関連で現地の有名化粧品ブランドとのコラボレーション商品を展開。2022年4-6月は前年同期間と比較して売上高を8億円近く上乗せすることができました。

2023年3月期第1四半期時点での営業利益率は17.2%。コロナ禍の痛手から立ち直り、回復基調が鮮明になりました。

ただし、サンリオは2015年3月期の営業利益率が23.4%でした。上の業績推移のグラフを見ると一目瞭然ですが、中長期的な視点で見ると稼ぐ力は失われています。


《不破聡》

関連タグ

特集