【メディア企業徹底考察 #81】メディア「漫画大陸」を買収額の1/20で譲渡、デジタルプラスの今後

メディアやフィンテック事業を展開する株式会社デジタルプラス(旧リアルワールド)が、2022年9月に運営していたメディア「漫画大陸」、「脱毛ドコイコ」を株式会社プルチーノに1,000万円で譲渡しました。 デジタルプラスは2020年11月にプルチーノから「漫画大陸」を2億…

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メディアやフィンテック事業を展開する株式会社デジタルプラス(旧リアルワールド)が、2022年9月に運営していたメディア「漫画大陸」、「脱毛ドコイコ」を株式会社プルチーノに1,000万円で譲渡しました。

デジタルプラスは2020年11月にプルチーノから「漫画大陸」を2億2,000万円で取得。これをきっかけとしてメディア事業を飛躍させるとしていました。それからわずか2年。買収額の1/20かつ別メディアをおまけにつけ、買い取った会社に譲渡したことになります。

デジタルプラスは同じタイミングで、モバイル通信の総合目メディア「すーちゃんモバイル比較」を2,000万円でアルファインターナショナル株式会社に売却しています。

フィンテック事業へ選択と集中を進めるデジタルプラスですが、メディアの売却によって業績が一時的に急悪化する可能性があります。

会社の成長を担ったGendamaを売却

デジタルプラスは2022年9月期の売上高を前期比2倍となる6億2,000万円、営業利益を3億円(前年同期は1億3,300万円の営業損失)を予想しています。同社は2018年9月期に43億2,100万円の売上高がありましたが、1/4ほどにまで縮小しています。

■デジタルプラスの業績推移

決算短信より筆者作成

デジタルプラスは2005年7月に設立されたリアルワールドが前身。ポイントを貯めるメディア「Gendama」をリリースしました。2011年4月に株式会社サイバーエージェントからポイントメディア「ライフマイル」(Gendamaに吸収合併)を譲受しています。

その後も次々とM&Aを繰り返して新規事業への参入、選択と集中のための売却を繰り返してきました。

一番の転機となったのが、2020年10月の「Gendama」を運営する株式会社リアルXの売却。リアルXは2020年6月末時点で1億4,700万円の債務超過に陥っており、財務体質の改善を図るための譲渡でした。

デジタルプラスは2019年11月に新規事業としてマーケティングプラットフォーム「AI Marketing」をリリースしており、経営資源を集中する計画でした。

「Gendama」は赤字事業だったものの、10億円程度の売上がありました。この売却により、デジタルプラスの売上は急速に縮小します。

売却後、新たに参入したのがWebメディア事業でした。

買収した「漫画大陸」は月間約600万PV、月間240万ユーザーのメディア。2億2,000万円で買収していますが、買収当時(2020年10月期)の「漫画大陸」の売上高は1億1,500万円、営業利益は1億300万円。個人が固定費をかけずに運営していたものと考えられますが、営業利益率89.6%という極めて収益性の高いメディアでした。


《不破聡》

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