カリフォルニア・ジャーナリズム保護法、州下院を通過・・・IT産業のメッカでニュースフィードは止まるのか

5月31日水曜日、メタの広報担当者アンディ・ストーン氏が、「ジャーナリズム保存法が可決されれば、カリフォルニアのパブリッシャーを支援するという名目で、主に州外の大手メディア企業に利益をもたらす裏金にお金を払うよりも、FacebookやInstagramからニュースを削除…

メディア ジャーナリズム
<p>LOS ANGELES, CA – FEBRUARY 06: The Los Angeles Times building is seen on February 6, 2018 in Los Angeles, California. Parent company, Tronc, is believed to be close to selling The Times and The San Diego Union-Tribune to billionaire Los Angeles doctor, Patrick Soon-Shiong, for about $500 million.  (Photo by David McNew/Getty Images)</p>

5月31日水曜日、メタの広報担当者アンディ・ストーン氏が、「ジャーナリズム保存法が可決されれば、カリフォルニアのパブリッシャーを支援するという名目で、主に州外の大手メディア企業に利益をもたらす裏金にお金を払うよりも、FacebookやInstagramからニュースを削除せざるを得ないだろう」と述べたことはこのサイトでもお伝えしました。しかし、その翌日、カリフォルニア州議会は46対6で法案を州上院に進めることを決定しました。

法案提出者のバフィ・ウィックス下院議員(オークランド市)は、自身の法案を支持するコメントを述べた。「…報道の自由は我々の憲法にあり、今まさに危険にさらされている」と訴え、「私たちのニュースルームが閉鎖されている間に、何十億、何百億と稼いできた企業なのだから。 何もしないことは選択肢にない。」と述べました。

また業界団体「ニュース・メディア・アライアンス」のダニエル・コフィー執行副社長は、メタが州内の記事をブロックすると脅したことを批判し、不振のニュース業界はハイテク・プラットフォームが公正な負担をすることで利益を得るだろうと述べた。Metaのニュースを取り上げるという脅しは、非民主的であり、礼儀を欠くものです。我々は以前にも彼らのプレイブックで(これを)見たことがある」とコフィー氏は声明で述べています。

カリフォルニア・ジャーナリズム保護法」(議会法案886)は、Meta、Google、Twitterなどのソーシャルメディア企業が、そのプラットフォームで共有されるコンテンツを制作する報道機関に対し、広告収入の一定割合(仲裁によって決定される)を「ジャーナリズム利用料」として支払うことを義務付けるものです。 これらの報道機関は、その資金の70%を記者やサポートスタッフに支給することが可能となります。(徴収料の7割がニュースルーム支援に支払われると書いている新聞がありますが、法案の文面上、7割を人件費として徴収料から支払うよう申請出来る、が正しい内容だと思われます。The bill would require an eligible digital journalism provider to spend at least 70% of funds received pursuant to the act on news journalists and support staff employed by the eligible digital journalism)

法案提出者のバフィー・ウィックス下院議員(オークランド市選出、民主党)は、広告収入が激減している地元報道機関に「命綱」を与えることができると主張しました。ウィックス氏は、今月初めに行われた法案に関する公聴会で、「ニュースの消費がオンラインに移行するにつれ、地域の報道機関は驚くほどのスピードで縮小・閉鎖されている」と述べ、過去10年間に100以上のカリフォルニア州の報道機関が倒産していることを指摘しました。

この法案は、民族系メディアやいわゆる “ニュース・デザート(砂漠)”へ情報提供するメディアなど、カリフォルニア州で苦境にあるメディアを支援することを目的としています。 また、この法案は、The Sacramento BeeをはじめとするMcClatchy Californiaの新聞社が加盟するCalifornia News Publishers Associationが共同スポンサーとなっています。CNPAは、法案を支持する声明の中で、「地方紙が閉鎖されると、市民参加は減り、汚職が増え、偽情報に対抗する能力がさらに損なわれる」と述べています。 Media Guild of the Westの会長としてAB886を提唱しているロサンゼルスタイムズのジャーナリスト、マット・ピアース氏もこの声明をTwitterで共有しています。

カリフォルニア労働組合と共に、Media Guild of the Westの会長として本議案を提唱しているロサンゼルスタイムズのジャーナリスト、マット・ピアース氏は両組合の支持表明をTwitterで共有しています。

“すべての労働者と同様に、ジャーナリストの労働は価値を産み出す。報道関係者は、全国労働関係法によって保護されているように、雇用主との団体交渉を通じて、その公正な分配を獲得しています。しかし、その価値がジャーナリストを雇用するニュース出版社ではなく、第三者の技術系ウェブサイトに不当に奪われると、これらの労働者は実際の経済生産性を反映した賃金を交渉することができなくなります。その一方で、ニュースルームの仕事は消え続けています。」と、労働団体のミッチ・スティーガー氏は書簡の中で書いています。

法案に反対票を投じた議員の一人、ヒース・フローラ下院議員(リポン選出)は、議会法案AB886について、「越えるべきかどうかわからない前例だ」と述べました。また、別の議員であるジョシュ・フーバー下院議員(フォルサム選出)は、この法案によってハイテク企業がニュース記事を抑制することになりかねないと述べました。

この法案は今後、上院に提出されます。

《前田邦宏》

関連タグ

前田邦宏

前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

特集