日本でもメディアのサブスクリプション化の流れがやってくる、Zuora CEOに聞くサブスク成功の秘訣

DAZN、Boxなど世界を代表するSaaSサービスで採用され、日本でもfreee、弁護士ドットコム(クラウドサイン)、ダイヤモンド社などで採用が進む、サブスクリプションを実装するためのSaaSを提供するZuora。セールスフォースで最高戦略責任者を務めた後、同社を起業した創業…

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DAZN、Boxなど世界を代表するSaaSサービスで採用され、日本でもfreee、弁護士ドットコム(クラウドサイン)、ダイヤモンド社などで採用が進む、サブスクリプションを実装するためのSaaSを提供するZuora。セールスフォースで最高戦略責任者を務めた後、同社を起業した創業者でCEOのティエン・ツォ氏にお話を伺いました。

―――サブスクリプションエコノミーの進展で、日本と諸外国との違いはありますか?

Zuoraでは4年前にZuora Japanを設立し、日本市場を積極的に開拓してきましたが、大きな手応えを感じています。ビジネスとして大きく成長していますし、我々もそこに応えるために積極的に人員を拡大しています。昨年、「サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル」という著書を日本ではダイヤモンド社さんから発売しましたが、米国と並ぶ規模で、他の国よりも圧倒的な部数が売れました。こういったビジネスモデルを日本の企業が渇望していた、ということだと思います。

実際にサブスクリプションモデルの導入も、他の国と同じように2種類のパターンで進んでいっています。1つはSaaSのスタートアップです。freeeや弁護士ドットコム(クラウドサイン)といったスタートアップが積極的にZuoraを採用して成功を収めています。それから大企業もサブスクリプションに適用しようとしています。トヨタのような自動車会社がサブスクリプションに乗り出すというのは1年前からは考えられませんでした。リコーや富士フイルムといった会社もZuoraを採用してサブスクリプションにチャレンジしています。

―――サブスクリプション企業に変わるために、まずはどのような事から取り組めば良いでしょうか?

これは是非私の本を読んで欲しいですね(笑)。鍵は、プロダクト販売モデルからの転換です。これまでは製品を作り、それを複数のチャネルを通じてお客様に販売するというモデルでした。ウォーターフォールのように、企業からお客様に対して、一方通行で製品を販売するだけでした。しかもチャネルを通じているので、実際のお客様の姿を誰も知りませんでした。自動車で言えば、お客様を知っているのはディーラーで、自動車メーカーではないわけです。しかしこれから実現すべきは、IDやアカウントを通じて、企業がお客様と直接繋がり、一方的なプロダクトアウトではなく、お客様を中心に、彼らが求めるものを理解し、それを反映したものを届けていくという姿です。

―――メディアのサブスクリプションも同様でしょうか?

そうですね。今回、ダイヤモンド社が「ダイヤモンド・プレミアム」というサブスクリプションサービスでZuoraを導入することを発表しました。IDを通じて読者と直接繋がることで、これまでのようにPVやUUなどを通じた大雑把な理解ではなく、きちんと一人一人の読者がどのような行動をして、どういった記事を、どんなタイミングで読むのか、理解できるようになります。それによって書き手も変わってくると思います。世界のパブリッシャーがサブスクリプションモデルで成功を収めつつあると思うので、日本でも動きが加速していくでしょう。

―――逆に、サブスクリプションが失敗する典型的なパターンのようなものはあるのでしょうか?

本当の意味でプロダクトを変えることなく、ビジネスモデルをレンタルや時間貸しに変更しても上手くいかないケースが多いです。これは本当の意味でのイノベーションではなく、よりユーザーが必要とするものに近づいていないからだと思います。例えば米国でサブスクリプションの旗手としてもてはやされた、ミールキットをサブスクリプションモデルで販売していた会社があったのですが、一時期好調だったのですが次第に苦戦し、創業者も退任するこということがありました。物珍しさはあるのですが、2,3回やれば満足してしまうもので、本質的に何か新しい価値を提供してはいなかったというのがその理由ではないかと思います。サブスクリプションに変えることで、よりユーザーにとって良いプロダクトに変わる事が必要です。

―――今回のZuora Central Platform提供の意図は何でしょうか?

サブスクリプションエコノミーはあらゆる産業に浸透していきます。するとそれだけ、多様なビジネスのあり方に適用しなければなりません。Zuoraはサブスクリプションビジネスを支援する様々なプロダクトで構成されていますが、お客様自身の環境ややり方に合わせてカスタマイズしたいという要望が強く寄せられてきました。それを飛躍的にやりやすくしたというのがZuora Central Platformです。ロジックやルールに基づくワークフローのカスタマイズや自動化、APIを使った外部システムとの連携、データモデルの拡張など、Zuoraのプロダクトをより独自の企業文化に融合するための取り組みとなります。

Zuora Central Platformの概念図。Zuoraを構成するプロダクトを、企業自身のニーズに合わせて柔軟に拡張、最適化、自動化して利用するための機能を提供する

―――Zuoraは今後どういった進化を遂げていくのでしょうか?

私達が訴えかけているのは、所有の時代は終わったということです。製造や販売に頼っている旧来のビジネスを続けていくと危機的な状況に陥ると思います。これはセールストークではなく、実際にユーザーの行動が変わっていっています。

自分自身を振り返ってみてください。もはや幾つのサブスクリプションサービスと契約しているか数え切れないと思います。音楽を聞くのにCDを買う人はもはや殆どおらず、みんなSpotifyや他のサブスクリプションサービスを使っているはずです。

この流れはB2Cだけでなく、B2Bにも同様に訪れています。freeeやクラウドサインはその典型です。つまり企業は変らねばなりません。そして日本企業も実際に変わりつつあります。4年前から考えてもそうですし、1年前から比較してもサブスクリプションエコノミーの浸透は明らかです。Zuoraはその中核としてプロダクトを磨き上げて、サブスクリプションに挑戦する企業を強力に後押ししていきます。

Media InnovationではZuora Japan桑野社長へのインタビューも掲載しています(4月掲載)。ぜひ併せてご覧ください。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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