ブロックチェーンで唯一性が担保された資産であるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)。非常に高額で取引されるなどの話題が尽きないNFTですが、これによってデジタルコンテンツはどう変化していくのか、最前線で取り組まれている方に話を伺います。
「CRYPTO TIMES」(クリプトタイムズ)は日本を代表する仮想通貨、ブロックチェーンを専門とするメディアです。前回の仮想通貨ブームまっさなかの2018年1月に立ち上げられ、冬の時代にも継続的に情報発信を続け、日本のマーケットを見つめてきました。
もともとは投資対象として仮想通貨に触れたという、「CRYPTO TIMES」の編集長で同サイトを運営する株式会社ロクブンノニの代表取締役である新井進悟氏に、日本のクリプト界の成り立ちや、今のブーム、NFTのトレンド、さらには直近で始めた広告枠のNFT化についての取り組みやメディア自身についても聞きました。
目次
メディアから仮想通貨に特化したシンクタンク的な立ち位置に
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株式会社ロクブンノニ 代表取締役
CRYPTO TIMES 編集長
―――「CRYPTO TIMES」立ち上げの経緯を教えてください
もともとは普通のサラリーマンをしていたのですが、2017年5月頃に仮想通貨に出会い、投資を始めました。今ほど情報が流通していない時期で、逆にきちんと情報収集をすれば、比較的カンタンに稼げる時期だったと思います。ちょうどビットコインが30万円から220万円くらいまで値上がりした時期で、投資で一定の資金を得る事が出来ました。
それで仮想通貨の面白さを感じて、自分が得た知識や情報収集のノウハウを上手く周りの人にも伝える事はできないかと思い、独立してメディアを立ち上げる事にしました。仮想通貨は海外発信が多く、日本人がそれに嵌め込まれる、というような状況もしばしば見られ、それを何とかしたいという思いもありました。
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―――ご自身が投資家として仮想通貨を徹底的にリサーチしているものをメディアとしてアウトプットするような形ですね
当初はまさにその通りでした。徐々にメディアの規模が大きくなっていきましたので、メンバーを増やしたのですが、非常に専門的な知識が要求される業務でもあり、社員を増やしていくというよりも、その分野に長けた人物に業務委託で手伝ってもらうような成長の仕方をしてきました。今も少数精鋭で、本当にこの分野が好きなメンバーで熱く議論をしながらメディア作りをしています。
―――会社としては「CRYPTO TIMES」が中核のビジネスになるのでしょうか?
全ての根幹はメディアです。最近では海外からの認知もされているため、仮想通貨で新しいプロジェクトを立ち上げたチームから、日本でのマーケティングを依頼される事が増えてきました。あるいは会社としてプロジェクトに出資する事もあります。いずれも、単純に稼げるというよりは、メディアとしての選球眼を活かして、真面目にやっていて、将来性があるプロジェクトを発掘する事が重要だと考えています。
仮想通貨と一口に言っても分野は細分化されていっています。トークンのトレードで稼ぐ人たちと、DeFiで稼ぐ人たちでは求める情報が異なります。直近ではNFTが盛り上がっていますが、そこでもまた異なる情報が求められます。「CRYPTO TIMES」として、全方位に展開する難しさも感じていて、直近では「CT Analysis」というリサーチにフォーカスしたブランドで、特定のテーマを深堀りしたレポートの発行に注力しています。
例えばNFTでも全体像を解説するのは、どっぷり浸かっている人でも難しいです。ですから、どこかの企業でNFTにビジネスチャンスを感じた人がいても、理解するのは大変でしょう。そうした際に参照してもらえるような情報源を目指しています。会社としてはレポートから一歩進んで、シンクタンク的に個別企業やプロジェクトのコンサルティングをするようなパターンも増えてきています。