サウジアラビアの男性、ネット上での行動を理由に初の死刑求刑

AP通信によると、サウジアラビアの裁判所は、X(旧ツイッター)への投稿とYouTubeでの活動を理由に、男性に死刑判決を下しました。

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サウジアラビアのブロガー、ライフ・バダウィの拘束に反対するロンドンのサウジアラビア大使館前の抗議デモ(2017年)

AP通信によると、サウジアラビアの裁判所は、X(旧ツイッター)への投稿とYouTubeでの活動を理由に、男性に死刑判決を下しました。 (上記写真は、サウジアラビアのブロガー、ライフ・バダウィ氏の拘束に反対するロンドンのサウジアラビア大使館前の2017年の抗議デモ。Wikipedia CC-BY-SA2.0

この判決は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、サウジアラビアの国際的な知名度を高めるために、王国内の反抗的な姿勢を一掃するための広範な努力の一環とのことです。しかし、この判決はすぐに国際的な人権団体から批判を浴びました。

国際的知名度は悪い方向に上がっていて、「サウジアラビアにおける弾圧は、平和的なツイートをしただけで死刑を宣告されるような、恐ろしい新段階に達しています」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの研究者ジョーイ・シー氏は述べています。

法廷文書によると、アル=ガムディ氏にかけられた罪状は、「宗教への裏切り」、「社会の治安の乱れ」、「政府への陰謀」、「王国と皇太子への侮辱」などであり、これらはすべて、批判者の投稿を再共有するというネット上での活動に対するものです。

サウジ当局は、メッカ市に住む引退した学校教師であるアル=ガムディ氏を特別に標的とした理由について何も説明しませんでした。しかし、彼の兄であるサイード・ビン・ナセル・アル=ガムディは、英国在住のサウジ政府批判者として有名であることから、本人は「この虚偽の判決は、私を帰国させようとする捜査当局の試みが失敗に終わった後、私個人への腹いせを狙ったものだ」とツイートしました。サウジアラビアは過去にも、外国にいる人々に帰国するよう圧力をかける手段として、家族の逮捕を行ったことがある、と活動家や過去に標的となった人々は言います。

アムネスティ・インターナショナルによれば、サウジアラビアは2022年の中国とイランに次ぐ世界トップクラスの死刑執行国である。昨年サウジアラビアが処刑した196人の受刑者の数は、アムネスティが記録した過去30年間で最高であった。昨年3月の1日だけで、サウジアラビアは81人の死刑を執行しました。

今回のアル・ガムディのケースは、ネット上での行動(それも恐喝や暗殺予告でもない内容)を理由に死刑を求刑した世界で初めてのケースになることは間違いありません。ソーシャルメディアでの政治的発言が死刑に至るとすれば、日本を含む国交のある民主主義国家から何らかのメッセージ、議論があって然るべきかと思われます。

《前田邦宏》

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前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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