欧州のコペルニクス気候変動サービスの専門家がＸに投稿した暫定情報によると、11月17日の世界の平均気温は初めて、産業革命前の水準を2度以上上回りました。また、欧州連合（EU）の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」（C35）は8日、今年の地球が過去12万5000年間で最も暖かい年になることが「事実上確実」だと発表しました。
2度以上の上昇は一時的な現象で、２度を超す温暖化が世界の常態となったわけではありません。しかし地球温暖化が確実に進行し、回復が困難あるいは回復不可能な影響を及ぼす方向へと向かいつつある兆候とみられます。（コペルニクスのデータは暫定値で、実際の観測によって確認されるまでには数週間かかる見通しです。）
なお、2週間後にはアラブ首長国連邦ドバイで国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議（COP28）が始まる予定です。
気候変動に関する政府間パネル（IPCC）によると、我々の大気は、現在、人類史上最も多くの二酸化炭素を保持し（IPCC 2023）、パリ協定として知られる2015年のCOP21サミットで設定された1.5度という重大な閾値を、地球の表面温度が上回る日がとうとう現実化しました（同上）。世界飢餓指数（Global Hunger Index）が示すように、人為的な気候変動の影響は食糧不安を悪化させ、この数十年で初めて世界の飢餓が急増しています。
とは言え、再生可能エネルギーのコストは予想を上回るスピードで低下し、クリーンエネルギーへの移行への道を開いています。さらに、世界経済の半分以上は、化石燃料による発電のピークをすでに超えています。（Lockhart et al.）こうした明るい兆しにもかかわらず、私たちは依然として大きな課題に直面しています。
実際、科学者たちは世界各国政府に対し、先進国が温室効果ガスを大幅に削減し、それぞれのネット・ゼロ目標を速やかに達成することを求める、軌道修正のための最後の機会を早急に活用するよう促している（IPCC 2023）。そのためにも、政策課題を形成し、公論を醸成し、個人を環境保護行動に向かわせる上で、ニュースメディアが極めて重要であることは、多くの実証的証拠によって明らかにされています。大多数の人々がニュースメディアから気候変動に関する情報を得ており（Newman et al.）人々の気候変動に関するニュースの消費パターンと、それが関連する態度に与える影響を理解することは、学者、ジャーナリスト、政策立案者にとって、特に一般的に研究が不十分な南半球の国々にとって、依然として重要です（Ejaz and Najam 2023; Schäfer and Painter 2020）。
ロイター研究所の報告書の目的は、気候変動ニュースの消費パターンの変化と一貫性について、8カ国の多様なサンプルを用いて新たな洞察を提供することです。2023年に実施したオンライン調査によって収集されたデータを用いた本調査は、気候変動ニュースの消費習慣に関する我々の理解を更新するだけでなく、2022年に発表した以前の報告書との貴重な比較対象ともなっている。ニュースの消費に加え、気候変動による健康への影響、直接行動抗議デモへの世論の支持と報道、気候正義など、関連するさまざまな側面についての世論を評価しています。
前回の報告以降、気候変動ニュースの消費頻度やメディア・プラットフォームの嗜好には、わずかな変化しか観察されませんでした。気候情報の主要な情報源として、科学者、活動家、国際機関への信頼が安定していることは心強いかもしれないが、回答者の間では、気候変動の誤報に対する懸念が根強い上、気候変動の影響はますます明らかになりつつあります。直接的な抗議行動に参加する人もいますが、調査ではこうした行動が広く一般に支持されているわけではないことを示しています。
ロイター研究所の報告書が、気候変動と健康、政治、気候正義を結びつける問題についての新たな洞察を提供すると同時に、気候変動に関する現在進行中の世界的な対話に貢献し、ジャーナリストや政策立案者に証拠に基づく洞察を提供し、この差し迫った問題に対する十分な情報に基づいた一般市民の関与を促すことを願っているのです。
