ブロードメディアは2026年7月30日、2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結決算を発表しました。前期末に釣りビジョンの全株式を譲渡し「放送」セグメントを終了したことで売上高は前年同期比10.8%減の35億1,800万円となった一方、営業利益は同7.3%増の2億6,200万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同59.4%増の2億1,200万円と増益を達成しています。

セグメント再編と各事業の状況
当連結会計年度より、報告セグメントは「教育」「スタジオ・プロダクション」「技術」「その他」の4区分に変更されています。放送事業の売上・利益が剥落する構造変化の中で、既存事業の収益性改善が全社の利益成長を支えた格好です。
教育セグメント:AI教育の伸長と通信制高校の課題
教育セグメントの売上高は前年同期比1.5%減の15億2,800万円でしたが、営業利益は同16.8%増の3億4,900万円と増益を確保しています。セグメント内では事業ごとに明暗が分かれました。
主力の通信制高校事業(ルネサンス高等学校グループ)は、大子校の在籍生徒数が減少した影響に加え、広告宣伝費の増加が重なり減収減益となっています。一方、日本語教育事業は「ルネサンス日本語学院」の受講生増加により増収増益を達成しました。外国人向け日本語研修や登録日本語教員養成講座への需要が追い風となっている模様です。
AI・プログラミング教育事業では、子会社divが運営する「テックキャンプAIカレッジ」などの個人向けAI教育や法人向けAI研修が好調に推移し増収となっています。前期に実施した人員体制の見直しによる人件費削減や広告宣伝費の抑制も効き、損失が大幅に縮小しました。AI人材育成の需要拡大を捉えつつ、コスト構造の改善も進んでおり、教育セグメント全体の利益貢献が増しています。

技術セグメント:アカマイ好調もdivxの受託減少が重荷
技術セグメントは売上高が前年同期比9.9%増の16億3,500万円と伸長しましたが、営業利益は同4.8%減の1億6,300万円にとどまりました。
主力のアカマイサービス(サイバーセキュリティ、CDN)は、既存顧客への深耕と新規顧客の獲得が進み増収増益を達成しています。デジタルシネマサービスやホスピタリティ・ネットワークなどその他の既存サービスは前年同期並みで推移しました。
一方、AI技術を活用したシステム開発を手がけるdivxは、受託案件の減少により大幅な減収となっています。案件獲得に向けた展示会出展などの営業費用も先行し、損失を計上しました。セグメント全体としては増収ながら減益という結果になっており、divxの受注回復が今後の課題となっています。
スタジオ・プロダクション:固定費圧縮で損失を縮小
スタジオ・プロダクションセグメントは売上高が前年同期比1.9%増の3億6,300万円、営業損失は553万円と前年同期の2,160万円から大幅に改善しました。2026年4月に新設分割により設立されたブロードメディア・スタジオが、海外映画・テレビ作品の日本語字幕・吹替制作を担っています。日本語字幕制作や番組制作の受注増に加え、固定費の圧縮が損失縮小に寄与しました。
その他セグメント:eスポーツ事業の譲渡を完了
その他セグメントは売上高が前年同期比15.4%増の5,500万円でしたが、営業損失は1,191万円と前年同期から若干拡大しています。eスポーツ推進事業はライセンス収入の増加とコスト抑制により黒字に転換した一方、ゲームパブリッシング事業は既存タイトルの売上は好調でしたが新規タイトルの開発費用が先行し損失が拡大しました。
なお、2026年7月1日付でプロeスポーツチーム「CAG OSAKA」を譲渡し、eスポーツ推進事業の運営を停止しています。放送事業に続くノンコア事業の整理が進んでおり、教育・技術を軸とした事業ポートフォリオへの集約がさらに鮮明になっています。
財政状態とキャッシュ・フロー
総資産は前期末比4億5,700万円増の102億1,800万円となりました。通信制高校事業において高校授業料無償化に伴う自治体からの就学支援金の預り金が大幅に増加し、流動負債が拡大しています。自己資本比率は47.4%です。
営業キャッシュ・フローは前年同期のマイナス3億6,400万円からプラス8億3,000万円へと大幅に改善しました。投資キャッシュ・フローはルネサンス豊田高等学校の移転に関する保証金支払いや固定資産取得によりマイナス4億9,400万円を計上しています。豊田校の移転投資は、通信制高校事業の教育環境整備に向けた先行的な支出と見られます。
通期予想と今後の注目点
2026年5月に公表した通期の連結業績予想に変更はないとしています。放送事業とeスポーツ事業を相次いで手放し、教育と技術の二本柱への経営資源の集中を進めるブロードメディアにとって、AI教育領域の成長加速とdivxの立て直し、そしてアカマイサービスの継続的な拡大が下半期以降の業績を左右する重要なテーマとなりそうです。




