早いものでもう年の瀬。皆様にとって2019年はどのような一年だったでしょうか? 2019年1月にオープンしたMedia Innovationも最初の一年を終えようとしています。これまで10回の特集企画、13回のイベントを開催し、多くのメディア業界のキーパーソンを取材してきました。12月特集は「メディア業界2020年の展望」という事でこれまで登場いただいた皆様にメッセージをいただきました。

初回は僭越ながら、Media Innovationの運営母体であり、20ジャンル60メディアを運営する株式会社イードの土本学(執行役員 メディア事業本部長)からコメントさせていただきます。今年はM&Aと、ブロックチェーンの回で登場させていただきました。

2019年はメディア業界にとってどのような年だったでしょうか?

全般的に、メディアにとっては厳しい一年だったように思います。スマホの普及に伴う市場拡大は完全に終了し、ベンチャー市場の活況によるメディアへの投資資金の流れも無くなり、新しいメディアが爆発的に成長し、次々に新旧交代が起こるということが考えづらくになりました。

また、グーグルの頻繁なアップデートや、YMYLと呼ばれるお金、健康領域のコンテンツでのSEOの大変動が、あらゆる領域に広がり、一定の認知や規模を獲得したメディアであっても、突然検索が壊滅するという減少が幾つも観察されています。あらゆる領域で、より信頼性、権威性が重視される流れになっています。

広告の分野でもITPによるクッキー規制が代表的ですが、ターゲティングが難しくなり、広告単価の下落が見られ、ネットに強い広告代理店やアドネットワーク企業の業績が厳しくなっています。これはメディアにも当然跳ね返ってきます。

資金調達をして、大量の記事コンテンツで検索をハックして、ユーザー数を積み上げて、アドネットワークで収益化する、という黄金パターンが完全に終焉したのが2019年だったように感じています。

これからのメディアに求められること、直面する課題はどういったことでしょうか?

既存のPC、スマホというプラットフォームは成熟市場で、安易なトラフィック獲得手法はもはやなく、誠実に読者と向き合って、きちんとしたコンテンツを届けていく、その積み重ねによって、メディアに対してブランド価値を感じてもらう、という当たり前のことがより重要になってきていると思います。

当社はジャンルに特化した専門メディアを多数運営していますが、「MoveDeeper」というブランドコンセプトで、それぞれのメディアがその領域を深堀りしていく、読者にも、そのジャンルをもっと深く楽しんでもらうための手助けをしていく、ということを掲げています。これをコツコツと重ねていく事が成功への道なのではないかと思います。

一方で、来年には5Gが実用化され通信環境が大きく変わります。デバイスでも、 スマートスピーカーなどの音声デバイス、 自動運転車内でのエンターテイメント、IoT家電を媒介にしたコンテンツ発信など、新しいチャンスの眼も出てくるはずです。基本に立ち返りながら、新しい機会を捉えようという姿勢もまた同時に必要になってくると思います。

2020年に取り組みたいと考えていることはどういったことでしょうか?

当社では20ジャンルで60のデジタルメディアと、5つの雑誌(来年2月に「アニメディア」が加われば8つになります)を運営しています。引き続き、このカバーするジャンルを広げていくことと、よりユーザーの趣向性に合わせて、ジャンルの中でも特化したバーティカルメディアを立ち上げていくということに取り組んでいこうと思います。

また、単に広告だけに依存するのではなく、メディアが主導になって360度にビジネスを広げていくということも重要です。専門メディアでは、それぞれのメンバーがそのジャンルの専門家ですので、その知見と、メディアの力を活かした、広告以外のビジネスをどこまで築けるかが勝負になると思います。

読者の方にメッセージがあればお願いします。

今年の1月に「Media Innovation」というメディアを立ち上げて、1年が経とうとしています。この間に、15回のイベントを開催し、のべ1000名近いメディア関係者の皆様にお集まりいただきました。この中で出会い、新しいチャレンジや、ビジネスがスタートしたという話も多数聞いています。

冒頭にコメントしたように、市場認識としては厳しい局面だと感じるところも多いですが、その分、チャンスも多い業界だと思っています。2020年も引き続き、メディア運営を通じて、広くメディア業界の成長に寄与していければと思っていますので、ぜひ引き続きご支援いただければ幸いです。

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