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左脳×時代性から考えるpart2…「メディアのイノベーションを生む50の法則」(#10)

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出村大進http://networkingevent.sakura.ne.jp/wp/
株式会社小学館マーケティング局。 毎月開催するメディア・マスコミ業界中心の勉強会&交流会「一冊会」を主催。 早稲田大学大学院経営管理研究科卒業。石川県生まれ。

【法則22】10年に一度の次世代通信・5Gが創るメディアの新しいカタチ

Key Words
〇第5世代移動通信システム
〇高速・大容量、低遅延、他接続
〇メディアの5G活用例

高速・大容量、低遅延、他接続で未来が変わる

いよいよ今年の3月から、都市部を中心に5Gサービスがスタートしました。今後10年の私たちの生活を劇的に変える次世代の通信インフラとして、非常に期待が高まっています。特にメディア企業にとって、5Gは今まで伝えづらかったものが伝えられるようになる、新しいビジネスや未来の可能性が詰まった技術といえるのではないでしょうか。

5Gとは「5th Generation」の略で、第5世代移動通信システムの意味です。

  • 「1G」--1980年代に登場したアナログ方式の携帯電話。音声のみ。
  • 「2G」--1990年代。デジタル方式に移行。インターネットに接続し、iモードやメール機能がスタート。
  • 「3G」--2000年代。通信は高速化・大容量化し、ブラウザやFOMAやワンセグが登場。
  • 「4G」--2010年代。スマホの登場。動画やモバイルゲームなど大容量コンテンツが一般化。
  • 「5G」--2020年代。高速化・大容量化が4Gの100倍以上!すべてのモノがネットにつながる時代へ。

5Gは3つの特長を持っています。

  • 「高速大容量通信」

4Gの通信速度が1Gbpsに対し、5Gは20Gbps。高画質のストリーミング配信や、360°全体の映像なども視聴が可能に。

  • 「超信頼・低遅延通信」

ネットワークの遅延が4Gは10msに対し、5Gは1msと遅延がほぼ無くなる。リアルタイムでのオンラインゲームやライブ配信が可能に。

  • 「多数同時接続」

4Gでは1㎢あたり10万台なのに対し、5Gでは100万台に。スマホだけでなく、メガネや時計やくつなどあらゆるモノに接続が可能に。

エンタテインメント業界を劇的に変える技術革新

5Gの影響でエンタテインメント業界も劇的に変化します。メディア企業の私たちは、5Gをどう活用できるでしょうか。

  • AR・VR

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術が発展し、ゴーグルをつけるだけでリアルな視聴体験が可能になります。混雑なしに有名なランドを体験できたり、世界旅行にだって行けちゃいます。

  • マルチアングル配信

スポーツ、音楽ライブ、映画、どを、さまざまな角度から視聴が可能になります。ピッチャーマウンドやバッターボックスからの野球観戦、会場内での選手目線でのオリンピック観戦など、夢があふれる映像が楽しめます。

  • 4K・8K

4K・8Kの高画質による映像が、遅延なく生放送も視聴が可能になります。「究極の映像の臨場感」が、テレビでもパソコンでもスマホでも、あらゆるデバイスで体験できるようになります。

  • eスポーツ

世界中のプレイヤーと遅延なく同時にゲームを楽しむことができます。遅延が命取りになるスポーツゲームや、高速で技が繰り広げられる格闘技ゲームなど、処理速度が飛躍的に向上するので、オンラインゲームが劇的に進化します。

メディアのビジネスや環境を大きく変える

今、皆様が携わられているメディアにも、さまざまな変化が想定されます。

  • 「デバイスの小型化、軽量化」――テレビもラジオもスマホも、より小型化し、より軽量化します。
  • 「品質向上」――映像、動画、写真、静止画、音声、あらゆるコンテンツの品質が向上します。
  • 「時間短縮」――コンテンツの提供の時間が短縮されます。またコンテンツの制作時間も短縮され、より簡単にコンテンツ作成が可能になります。
  • 「コスト削減」――コンテンツ作成、配信費用、人件費や海外の人とやり取りをする間接費など、あらゆるコストが削減されます。

このように、5Gはメディア業界にとって大きな影響をもたらします。通信システムとしては、10年に一度の技術革新です。ぜひこの時代の劇的な変化を千載一遇のチャンスとしてとらえ、今までできなかったさまざまなコミュニケーション方法を試し、新しいメディアの形を創っていければと思います。

【法則23】クリエイターとコンテンツを守るブロックチェーン技術

Key Words
◯分散型台帳
〇コンセンサスアルゴリズム
〇公開鍵暗号方式。

市場規模が急拡大中のインターネットに次ぐ技術革新

イノベーションは技術革新とともに生まれることが多くあります。ブロックチェーンは「インターネットに次ぐ技術革新」と呼ばれ、その市場規模は、株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、2020年の30億ドルから2025年には397億ドルへと急拡大すると予測されており、まさにイノベーションのタネが多く眠っている技術です。

ブロックチェーンとは、特定の管理者がいなくても使えるインターネット上の「分散型台帳」を作る技術のことです。世界中の参加者みんなで作り上げていくことで、大量の取引データを安全にかつ公正に管理することができます。

ブロックチェーンはどういった技術が革新的なのでしょうか。ブロックチェーンを支える3つの特徴的な技術を説明していきます。

  • 【特徴的技術1】取引記録をブロックにしてチェーンでつなぐデータ構造

取引データであるトランザクションを複数集めたものをブロックにしてまとめ、チェーンで脈々とつなげていく技術。

  • 【特徴的技術2】コンセンサスアルゴリズム

プルーフ・オブ・ワークなど、参加者全員でチェックしながらデータの正しさを合意して証明していく技術。

  • 【特徴的技術3】公開鍵暗号

「公開鍵」と「秘密鍵」のペアキーを使って暗号化する技術。秘匿性と安全性が保たれる。

これらのブロックチェーンの技術革新により、私たちはさまざまなメリットを得ることができます。

  • 【メリット1】中央集権を防げる。

権限が一か所に集中することを防げます。また、分散して管理しているため、障害に強くシステムダウンも防げます。そして、誰もが平等に情報を利用することができます。

  • 【メリット2】データの改ざんが不可能。

過去の取引データがチェーン状につながっているため、改ざんが難しく、セキュリティ性が高い。

  • 【メリット3】低コスト。

分散管理のため、一つの組織が大規模にシステム投資する必要がないため、コストが少なくて済む。

著作権や資金調達でクリエイターを守る

ではメディア業界ではどういった活用方法があるのでしょうか。次の4つで大きなインパクトを与えそうです。

  • 【活用1】著作権。

音楽や映画などの著作権は権利者が多く、非常に複雑な構造をしています。さらに国によって、権利者も変わります。それらをスマートコントラクトなどにより、正確に管理することができるようになります。

  • 【活用2】所有権。

アート作品など、ブロックチェーン技術を使えば、本物か真偽が明確に分かり、またどういった所有者を辿り、どういう風に管理してきたかがすべて記録されていきます。

  • 【活用3】資金調達。

映画やゲームなど、コンテンツ作成には巨額の資金が必要です。その資金を、ICOなどで世界中から容易に調達することができるようになります。また制作の前から人気やニーズが分かるため、大きな赤字を被ることも少なくなります。

  • 【活用4】制作。

ゲームなど、これまでは一つの会社や組織内で制作していたが、ブロックチェーン技術により世界中の人の力を借りて製作できるようになり、誰がどこを作ったのか管理され、報酬を分配できるので、これまでにない壮大なコンテンツを作成することができる。

これまでクリエイターを悩ませていた、著作権や資金調達問題で、大きく助けてくれることは間違いありません。ブロックチェーン技術はクリエイターを守る可能性を多く秘めています。

新しい技術ゆえのブロックチェーンの課題

メディア業界にとってメリットばかりのブロックチェーン技術のように感じますが、新しい技術ゆえ、課題もたくさん残っています。

  • 【課題1】法律、規制、ガバナンスが未整備。

どういった法律を整備すればいいのか、またその法律はどこの国が作るのか、世界的にどう規制していけばいいのか、まだ仕組みが確定していない。

  • 【課題2】データの秘匿性が保たれていない。

参加者みんなで管理していくがゆえ、情報が共有されてしまうため、政府など秘匿性が高い必要がある組織やプロジェクトで使用していい技術なのかまだわからない。

  • 【課題3】技術的に未熟。

どんどんトランザクションが増えていくと、合意形成に時間がかかったり、情報量が増大したりするスケーラビリティ問題がある。

ブロックチェーンが世の中に与えるインパクトは計り知れません。これまでの中央集権の社会構造や、国の仕組みさえ変えてしまう技術革新です。だからこそ、そこに潜むチャンスは計り知れません。メディア業界でいち早くブロックチェーン技術を使い、クリエイターやコンテンツを強化し、世界に打って出る日本の企業が出ることを願っています。

【法則24】D2Cでメディアのコミュニティ活用、グロースハックが進む

Key Words
〇特色とメリット
〇編集力 ≒ プロデュース力 ≒ ストーリー構築力
〇グロースハック

ユーザーと商品開発から販売まで共創する時代へ

D2C(Direct to Consumer)は、メディア関係者にとって見過ごせない概念です。これまでメディアはユーザーと直接話す機会はそれほど多くなかったように思います。ラジオであればリスナーからの手紙や、テレビでも視聴者からの声、新聞でも投書などはありました。ただ、SNSの普及が進み、また恒常的にユーザーと話せる機会が増えました。これによって、コミュニティも作りやすくなり、商品開発のプロセス自体が変わってきているのではないでしょうか。

D2Cとは、自ら洋服や化粧品などの商品を企画・作成し、流通や小売店を挟まずにECで販売し、広告代理店や広告媒体を使わずに自らのSNSなどで宣伝する販売手法のことを言います。生産者と消費者が直につながることでコミュニケーションが取りやすくなり、ファンやコミュニティが作りやすくなります。

  • 【特色1】直で消費者とつながっているためニーズや需要が前もって分かる
  • 【特色2】中間マージンがないため低価格で提供できる
  • 【特色3】流通や小売店を挟まずにECで販売
  • 【特色4】広告代理店や広告媒体を使わずに自らのSNSなどで宣伝

D2Cにはたくさんのメリットがあります。

  • 【メリット1】顧客一人一人のデータを基に商品開発ができる
  • 【メリット2】小売店などではなく生産者が価格をコントロールできる
  • 【メリット3】流通や小売店を挟まないため納期を短縮できる
  • 【メリット4】ファンやコミュニティが作りやすい。世界観・ライフスタイルを伝えやすい

メディアでファンを作りD2Cをスタート

次にD2Cの成功事例を定性的に見ていきましょう。

メディア的な活動からD2Cをスタートさせて大成功したブランドとしてよく話題にあがるのが、NYのコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」です。CEOのエミリー・ウェイス(Emily Weiss)氏は、「Into The Gloss」というブログを2010年に立ち上げ、その4年後にブランドを発売しています。創業者のエミリー・ウェイス氏は、ファッション誌のVOGUE社にも関わっていました。

「Glossier」の特徴としては、ユーザーへの直接販売を基本としており、ブログやSNSを通してユーザーとコミュニケーションを取っていて、商品に反映することをとても大切にしています。ブログ自体も非常に興味深く、セレブの美容への考え方や美容法、メイクに関する最新情報を提供しています。

メディアでファンを作り、そこからD2Cをスタートさせる――。

この動きは多くのメディア企業でも実施することができるのではないでしょうか。ブランド自体のメディア的な活動も増えており、その垣根は限りなく近くなってきているように思います。

編集者のプロデュース力と世界観構築の魅力

メディアに携わる方々の魅力は、情報を集め、編集し、ストーリーを構築することにあるのではないでしょうか。人々に伝わりやすく、惹きつけやすくするのは、誰にも真似できるものではありません。その一つの事例として、D2Cブランドとして頭角を表している企業があります。

MEDERI株式会社(代表取締役:坂梨亜里咲)は、妊活・不妊治療領域のD2Cブランドである「Ubu(ウブ)」を開発しています。「自宅でできる、もっとも身近な妊娠準備」をコンセプトに、医師・専門家監修のもと丁寧につくられたサプリメントの定期便などを販売し、ファンを獲得しています。

「Ubulive」というブランドに関心を持つ方々向けのLIVE配信を定期的に行い、ユーザーと直接対話することを大切にしていたり、クラウドファンディングをうまく活用してファンとの関係構築を行いながら商品開発をしたりしながら、ファンとともに世界観を構築し発信しています。

「Ubu」の活動全体には、「Ubu」らしさ、代表取締役の坂梨さんらしさという、統一した世界観を感じることができます。D2Cブランド作りは雑誌作りにも似ていると思いますが、ブランドを作るうえで一番大切なのは、世界観作り、です。雑誌も編集長が変わると雰囲気や内容もがらりと変わります。世界観を作っていくプロセスは、メディアととても似ています。そういう意味では、メディアはすでにD2Cブランドを作り育てる能力・ノウハウを持っています。

「編集力 ≒ プロデュース力 ≒ ストーリー構築力」。メディアこそ、D2Cを活用すべきではないでしょうか。

ブランド成長に寄与するグロースハック力

メディアとD2Cブランドの構築は、相性がいいことはここまでに述べてきました。そこに加えてグロースハック技術があると更に成長できると考えます。デジタルマーケティングの良いところは、効果計測がしやすいところです。メディア由来のブランドが、D2C的なコミュニティ構築と徹底したPDCAを回したグロースハックの手法がかけ合わさると、飛躍的に成長していきます。

D2Cブランドとグロースハック力を発揮して急成長しているのが、パーソナライズスキンケアやヘアケアサービスの「Sparty」を展開する株式会社Spartyです。社長の深山 陽介氏は大手広告代理店出身でマーケティングにも知見の深い方です。商品購買に繋げるべく、効果的にデジタルマーケティングを活用しながら、CRMも将来の商品開発にも繋がるよう構築しています。更に興味深いのは、そのノウハウ自体をコンサルティングサービスとして提供していることです。

D2C成功のポイントとメディアの得意・苦手

さて、ここまでD2Cで大切なことや成功事例を述べてきました。D2C成功のポイントをマスコミ企業の得意・苦手でまとめると、以下のようになります。

【得意】

  • 世界観を構築して、ブランドを育てる
  • クオリティの高い商品を自ら企画し、生産する

【苦手】

  • SNSを駆使してファンと交流し、関係を構築する
  • デジタルマーケティングを活用し、ECで売上を伸ばす

苦手な部分をいかに内部で強化したり外注したりしてカバーし、得意とする部分の力を存分に発揮することが、メディア企業がD2Cで成功する秘訣ではないでしょうか。

(以下、第11回に続く)

メディアのイノベーションを生む50の法則

第1回:メディアの変遷と未来
第2回:イノベーション理論の歴史
第3回:「左脳」×「普遍性」
第4回:「右脳」×「普遍性」
第5回:「左脳」×「時代性」
第7回:その他の領域 part1
第8回:「左脳」×「普遍性」 part2
第9回:「右脳」×「普遍性」 part2

第10回:「左脳」×「時代性」 part2
第11回:「右脳」×「時代性」 part2(10/19ごろ公開)
第12回:その他の領域 part2(10/26ごろ公開)

以下、続く。

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