2月22日、マイクロソフトは、オンラインコンテンツの出所や信頼性を証明するためのオープンスタンダード(標準規格)を複数のメディア・テック企業と連合して開発していくことを発表しました。Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)と呼ばれるこの連合は、マイクロソフトを始めとした有名企業6社で構成されており、キャプチャデバイスから情報消費者までエンドツーエンドの来歴追跡のための標準規格確立を目的としています。
C2PAの役割
マイクロソフトによれば、ニュースや情報の操作や拡散に関する懸念が高まっており、それらの情報源や来歴を証明するルールや技術を開発することが重要な一手であると述べています。そのために発足した連合がC2PAであり、アドビ、Arm、BBC、インテル、Truepicそしてマイクロソフトを創設メンバーとして構成されています。C2PAの役割はオンライン上のメディアコンテンツに対し、その出所と来歴を証明するための標準規格を開発することです。これにより、コンテンツの消費者はそれが正しい情報源に基づいた正しいものかを判断することができ、誤情報の拡散や情報操作を防ぐことができるようになります。
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コンテンツの来歴とは
C2PAが目指す標準規格でキーとなる来歴とはどのような意味なのでしょうか。来歴は原文ではProvenanceとなり、起源や出所を表していますが、ここでは「コンテンツがオンライン上に公開されるまでの間にどのように扱われてきたか」ということを意味しています。すなわち、この来歴を証明するということは、情報が改ざんされたり、誤った解釈がなされていないことを証明することにほかなりません。
C2PAはこの来歴ベースでの標準規格を開発しようとしており、ドキュメント、画像、動画、音声全てのメディアに対し、
- どのような情報を付帯させるか
- その情報をどのように表示・保管させるか
- 改ざんされたかどうかを判別する手段
を定義し、コンテンツの作成者、パブリッシャー、消費者それぞれが情報の出所と流れを追跡できるようにすることを目的としています。この規格をオープンスタンダードとして提供することで、あらゆるプラットフォームで採用することができ、情報の信頼性をウェブ全体で向上させることが可能となります。さらにポイントとして、Armやインテルなどのチップメーカーとも協力し、カメラなどのキャプチャデバイスでメディアを撮影する段階から規格を適用することで、ハードウェアも含めたエンドツーエンドの信頼性担保を行うことを掲げています。
CAIとProject Originの統合
C2PAにはベースとなる2つのプログラムが存在しています。1つはアドビ主導のContent Authenticity Initiative(CAI)であり、デジタルメディアの来歴を提供するシステムを作り、作成者の権利主張や消費者の真偽判断に貢献していました。一方、マイクロソフトとBBCが主導するProject Originは、コンテンツの一部に信号を埋め込むことで情報の整合性を担保し、情報改ざんへの対策に取り組んでいました。そして、これら両者の取り組みは技術標準としてC2PAに吸収されることになります。また、今後2つのプログラムが消滅することはなく、それぞれ独立して活動を続けていくようです。
新たに発足した連合は、はびこるフェイクニュースや情報操作に終止符を打つことができるのでし