【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か

ゲームを事業の柱としながら、ライブ配信アプリ、メディアなど別事業にも力を入れている株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)とグリー株式会社。2021年に入って2社の業績の明暗が鮮明になってきました。 DeNAは2021年3月期の売上高に当たる売上収益が前期比12.8%増…

企業 その他
【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か
  • 【メディア企業徹底考察 #38】ゲーム依存からの脱却を図るDeNAとグリー、成長期待の高いライブ配信は特効薬か劇薬か

ゲームを事業の柱としながら、ライブ配信アプリ、メディアなど別事業にも力を入れている株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)とグリー株式会社。2021年に入って2社の業績の明暗が鮮明になってきました。

DeNAは2021年3月期の売上高に当たる売上収益が前期比12.8%増の1,369億7,100万円、営業利益が224億9,500万円(前年同期は456億7,600万円の営業赤字)となりました。DeNAは2020年3月期にタクシー配車アプリ「MOV」で78億7,700万円のセグメント損失(前年同期は36億1,000万円の損失)を出しており、業績全体の足を引っ張られていました。この事業は2020年2月にJapanTaxi株式会社のタクシー配車アプリと事業統合して株式会社 Mobility Technologiesとなり、Mobility社はDeNAの持分法適用会社となりました。2021年3月期は重荷になっていた事業の業績への影響を縮小したことになります。

また、ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」において51億9,100万円のセグメント利益(前年同期は13億5,600万円の損失)を出すなど、新規事業の黒字化も好影響を与えています。

■DeNAの業績推移(単位:百万円)

決算短信より筆者作成(グラフの営業利益は右軸)

一方、グリーは2021年6月期の売上高が前期比9.4%減の567億6,600万円となりました。売上高は緩やかに下降線を辿っており、精彩を欠いています。2021年6月期の営業利益は同70.1%増の53億7,800万円となったものの、営業利益率は9.5%に留まりました。2015年6月期の営業利益率は20%を優に超えていました。

■グリー業績推移(単位:百万円)

決算短信より筆者作成(グラフの営業利益は右軸)

かつて日本の新興企業を代表する存在だった2社は、なぜこれほどまでに違いが出てきたのでしょうか。事業構造や戦略をもとに読み解きます。

「メディア企業徹底考察」シリーズのバックナンバーはこちら

コンプガチャ問題が分水嶺に

この2社を語る上で外せないのがいわゆる”コンプガチャ問題 ”です。複数のアイテムをそろえるとレアアイテムが得られるソーシャルゲームの仕掛けで、消費者庁はそれが景品表示法に抵触すると2012年5月に名言しました。グリー、DeNAはコンプガチャの自粛へと追い込まれます。ここが2社の転機です。

コンプガチャ問題が表面化する前のグリー2011年6月期の売上高は641億7,800万円、営業利益は311億3,500万円で、営業利益率48.5%という凄まじい収益性を保持していました。2013年6月期はゲームデベロッパーのポケラボ買収の影響で売上高は1,522億3,800万円となったものの、営業利益は486億1,500万円となり、営業利益率は9.4%まで縮小しています。

この現象はDeNAもほぼ同じです。自粛する直前の2012年3月期の売上高は1,457億2,900万円、営業利益は634億1,500万円で営業利益率は43.5%でした。2014年3月期は売上高が1,813億1,300万円、営業利益は531億9,800万円となり、営業利益率は29.3%まで落ち込みました。

コンプガチャへの依存度が高かった2社は軌道修正を迫られました。


《不破聡》

関連タグ

特集