【メディア企業徹底考察 #94】TSUTAYAを運営のトップカルチャーが赤字転落、書籍悪化に打ち手はあるか?

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TSUTAYAのメガフランチャイジーである株式会社トップカルチャーが、2022年10月期に1億5,400万円の営業赤字となりました。

トップカルチャーは2018年10月期にも営業赤字を出していますが、これはレンタル仕入原価の一時的な増加要因によるもので、翌期には早期黒字化を果たしています。しかし、今回の赤字要因は主力となる書籍の減少が招いた可能性が高く、中期的な赤字に苦しむ可能性があります。

トップカルチャーは2023年10月期に大幅な店舗改革を行うことから、今期の業績予想を出していません。

売上高は90%を下回る月が続く

TSUTAYAは集客力のある書籍販売と、利益率の高いDVDやCDのレンタルの組み合わせで高い収益性を得るモデルです。トップカルチャーの2011年10月期の営業利益率は3.6%ありました。しかし、動画配信サービスの台頭でレンタル市場が急速に縮小し、利益率は減少傾向にありました。トップカルチャーの2019年10月期の営業利益率は0.6%まで落ちました。

決算短信より

2020年10月期から2021年10月期にかけては、巣ごもり特需や『鬼滅の刃』の大ヒットの恩恵を受け、営業利益率は1%台を回復しました。しかし、その効果が切れて赤字へと転落してしまいます。

トップカルチャーは2019年10月期にレンタル事業から完全撤退をする方針を打ち出します。21億円の撤退損を出して、2023年10月期までに撤退を完了させる計画でした。レンタル事業の売場をコワーキングスペースなどに転換し、空間の価値を高めて書籍販売に弾みをつけようとしていました。

また、雑貨や文具の品揃えを強化し、書籍を買いに集まった顧客の”ついで買い”を促進する、新たな店舗展開を進めました。

しかし、トップカルチャーが運営するTSUTAYAの集客力は回復していません。下のグラフは既存店の売上高の推移です。各月の数値は前年同月対比を表しています。2020年12月に100%を超えましたが、それ以降は低調が続いています。2022年は90%を下回る月がほとんどを占めています。

月次概況より

集客力を失っているため、1店舗当たりの売上高が減少します。2022年10月期の1店舗当たりの売上高を算出すると、3億2,200万円でした。2019年10月期は4億円。7,800万円(19.6%)も減少しています。

なお、トップカルチャーの資料では2022年10月期の総店舗数が77となっていますが、これはTSUTAYA内に「ふるいちトップブックス」を出店しているため。その数を勘定に入れず、TSUTAYAや蔦屋書店の店舗数(65店舗)で計算しています。77店舗だと、1店舗当たりの売上高は2億円台まで落ち込みます。

トップカルチャーは、レンタル事業の撤退と空いたフロアの活用の進捗について詳しく説明していません。しかし、猛スピードで「ふるいちトップブックス」を店舗内にオープンしていることから、計画の内容からはやや外れてレンタル棚を古本や中古ゲームを扱う棚へと置き換えようとしていると予想できます。

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書籍の売上高は2割近く減少

トップカルチャーの苦境を何より物語っているのが、書籍の売上が大幅に落ち込んでいること。2022年10月期の書籍部門の売上高は前期比16.9%減の125億2,700万円でした。特需の反動減の影響を受けたと考えられます。

また、強化するとしていた雑貨・文具も減少。売上高は31億1,400万円で19.2%減少しています。店舗内の出店を強化しているリサイクル部門も売上高は8億800万円で、26.8%の減少でした。「ふるいちトップブックス」の出店を強化したのが、2022年10月期の下半期だったため、業績への貢献度が低かったのかもしれません。

しかし、ゲームやリサイクルの売上高は10億円程度と小さく、縮小傾向にありました。巻き返しを図れるほどの事業に成長できるのかは疑問が残ります。

トップカルチャーは2022年12月16日に代表取締役の異動を発表しました。創業者の清水秀雄氏は代表から外れ、取締役会長となりました。息子の清水大輔氏と2トップ体制を敷いていましたが、代表権は一人に集約されます。経営のかじ取りはしやすくなるかもしれません。

ただし、清水秀雄氏は5.39%の株式を保有する大株主であり、取締役として会社に残っています。大規模な経営改革を行えるかどうかは不明です。

トップカルチャーは社外取締役と監査役を除く役員が8名在籍しており、毎期2億円近い役員報酬が発生しています。赤字へと陥った今、経営体制そのものを見直す時期が訪れているようにも見えます。

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