【メディア企業徹底考察 #106】eスポーツへの進出と広告費のカットが奏功、GameWithの業績が回復軌道に

ゲーム情報メディアを運営する株式会社GameWithが、目覚ましい業績改善に取り組んでいます。 2023年5月期第3四半期の売上高は前年同期間比14.8%増の26億1,900万円、営業利益は同40.4%増の2億4,600万円でした。営業利益率は9.4%。前年同期間は7.7%でした。1.7ポイント改…

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ゲーム情報メディアを運営する株式会社GameWithが、目覚ましい業績改善に取り組んでいます。

2023年5月期第3四半期の売上高は前年同期間比14.8%増の26億1,900万円、営業利益は同40.4%増の2億4,600万円でした。営業利益率は9.4%。前年同期間は7.7%でした。1.7ポイント改善しています。

2021年10月に2億5,000万円で連結子会社化したeスポーツチーム運営のDetonatioNの収益貢献があった他、広告費を抑制して営業利益率を高めました。GameWithは既存のメディアビジネスから、eスポーツ領域へのシフトを加速しています。

急速な検索需要減退が招いた悲劇

GameWithは2013年6月設立。同年9月に現在のゲーム情報サイトをリリースしました。メディアの立ち上げ当初より、ゲームの攻略情報を発信するというポジションを確立します。2016年9月から動画実況、2017年3月にコミュニティ機能を強化しました。

2017年6月に新規上場。2019年にアットウィキを設立し、ゲーム・アニメ関連の情報共有サービス@WIKIを取得しています。

GameWithの業績は特徴的な推移をしており、なぜ早急に既存事業からのピボットを図ろうとしているのかがよくわかります。

2019年5月期の売上高は31億4,800万円、営業利益は8億800万円でした。営業利益率は25.7%。驚異的な利益率の高さを誇っていました。しかし、2020年5月期には営業利益率が14.1%まで失速し、2021年5月期には営業赤字に転落します。

決算短信より

失速するタイミングが新型コロナウイルス感染拡大と重なっており、甚大な影響を受けたように見えます。確かに、ゲーム会社の開発が遅れて広告に影響がでました。しかし、経営を揺るがす問題にはなっていません。コロナ禍の影響は軽微です。

GameWithは特定3タイトルのゲーム攻略情報に依存していました。

ゲーム攻略メディアの2019年5月期初頭のPV数は、月間2.3億もありました。PV単価は100円。2019年5月期1Qは四半期で5億4,200万円の売上高があります。しかし、急速にPV数を落とし始めます。2019年5月期4Qは月間1.8億PVまで落ち込みました。

GameWith創業者で代表取締役社長の今泉卓也氏は、2017年5月期の決算説明会において、質の高い記事を書く上位のプレイヤーをライターとして囲い込んでいることが、トラフィックで競合メディアとの差別化につながっている旨の発言をしています。

つまり、高品質の記事を出すことで上位表示ができ、PV数を伸ばしていることがGameWithの強みだというのです。GameWithはこの体制を崩すことはありませんでした。質の低下による検索順位の落ち込みはなかったと考えて間違いありません。

主要3タイトルはリリースから5~6年経過しているものだと言います。攻略情報の需要が減退してしまったのでしょう。2018年6月のPV数を100とした場合、主要3タイトルは6割程度まで縮小していました。それ以外のPV数は100を超える月が続いています。

テレビCMでアプリユーザーの獲得に動くが…

上の四半期ごとのグラフの推移を見ると、2020年5月期4QはPV数が大きく改善しています。1ヶ月当たりのPV数は2.1億まで戻りました。しかし、100円を超えていた単価が79円まで下がっています。

GameWithは2020年5月期2Qから広告費の増加が目立ち始めました。4Qは経費全体の3.7%まで膨らんでいます。

■コスト構造

広告を出稿したことによりPV数は回復したものの、単価が発生するCVへの意欲が低いユーザーが集まり、結果として単価を下げることになったと予想できます。


《不破聡》

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