サブスクリプションやデータマネジメントのプラットフォームを展開するPIANO Japanは年次イベント「PIANO Rectial 2020~真のデジタル改革を実現するために~」を10月6日に開催しました。イベントはリアルとオンラインの双方で実施され、多くの日本のメディア関係者が参加しました。
冒頭挨拶した同社代表取締役社長の江川亮一氏は、PIANOは単なるSaaSのプラットフォーム提供のみでなく、世界で多くのメディアを支援してきた実績やノウハウを活かしたビジネスコンサルティングにも注力しており、メディアのビジネス、テクノロジーを包括的に支援する体制が整ってきたと話しました。
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また、「Pianoはデジタルビジネスプラットフォームを標榜していて、デジタルビジネスを推進していく上で必要となるコンポーネントを全て取り揃えていて、デジタルトランスフォーメーションを進めていく中で包括的なサポートが提供できる」と強調しました。パートナーも増えていて、メディア企業に限らず、本イベントで講演があったキリンホールディングスのように一般事業会社での導入も増えているようです。
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さらに江川氏はデジタルトランスフォーメーションの一形態であるサブスクリプションビジネスの成功のためには幾つかのキーポイントがあると指摘しました。メディアがこれまでのプロダクトアウトの発想から顧客を起点とした”顧客アウト”に変わること、テクノロジーがその中核になること、作って終わりではないマーケティング発想を取り入れることが求められるとしました。
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イベントの後半では同社ビジネスデベロップメントの津田晃一氏から今後の新機能やロードマップについて説明がありました。1年前のPianoとCxenseの統合から、技術的な統合も進められてきましたが、その成果の一端が披露されました。
大方の製品が棲み分けされていた両社ですが、フロントエンドでの挙動を制御するソリューションとしてPianoには「Composer」という製品があり、Cxenseには「Cxense Conversion Engine」(CCE)という製品があり、機能に重複がありました。これについては2世代のバージョンアップを経て、2021年下半期に「Piano Composer 2」という形で統合される事が明らかにされました。
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「Composer」はCxenseのテクノロジーとの連携を強化した「Composer 1X」にまずバージョンアップ。「CCE」は「Piano CCE」とリブランディング。この両社が来年後半に統合されます。「Composer 1X」ではユーザーがサブスクリプションへの契約をするかどうかをスコアリングしたLTsという指標がリアルタイムで計算されるようになり、さらに解約リスクをスコアリングするLTcという指標も導入されました。
広告&マーケティングの領域ではCxenseが買収した「Enrich」が「Piano DMP」に統合が完了。グーグル広告との連携が改善されていて、セグメントIDではなく、セグメント名での運用が可能となり、視認性が大幅に改善されました。また、グーグルアドマネージャー(GAM)との連携が強化され、「Piano DMP」側でGAMでの配信結果のオーディエンスデータ等の詳細を確認できるようになります。これによってパフォーマンス調整や次回のターゲティング提案にも簡単に活用できるようになりました。
さらにアンケートを作成して、ユーザーに提示し、その結果を元にDMPで利用するデータを取捨選択する事が容易にできるようになり、コンセントマネジメントとして活用する事もより簡単になりました。
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サブスクリプションの領域では「フリクションレス」を掲げていて、課金までのハードルを極力減らす事に注力されています。Apple Payとの連携では、会員登録不要でTouch IDやFace IDでの購入が可能になります。βテストでは購入までの時間が1/6になり、CVが4倍になるという結果が出たそうです。こちらは10月中に提供開始されます。また、パスワードを登録せず、登録メールアドレスへの送信メールをクリックしてもらうだけで本人認証し決済を走らせる事も可能になります。
日本向けの機能改善としてはライセンス管理が拡充され、法人向けに契約期間や数量を指定して、複数のメールアドレスを管理したり、ドメイン指定で利用させたりする事が可能になります。また、キャリア決済やLINE Payなど日本独自の決済手段にも対応していくとのことです。
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パーソナライズの領域でも機能拡充が行われています。「Piano ESP」ではブラウザプッシュ通知を管理する機能が追加。カジュアルなユーザーとの接点として活用できそうです。
今後のロードマップでは「Facebook Messenger」などの新規チャネルへの対応や、メールマガジン登録状況の確認ウィジェットの追加、「Piano ESP」でのメールやプッシュ通知のパーソナライズを「Piano Content」から利用することができるようになり、よりパーソナライズが強化できます。
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連携パートナーも拡充されていっていて、今年に入ってからインティメート・マージャーや座・トレード・デスクとの連携もスタート。これらは「Connectivity Hub」から利用が可能です。
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このように機能拡充も精力的に行われているPIANOのソリューション郡。ラインナップトータルではなく、個別の製品ごとに利用し、既存で採用しているプロダクトと連携しながら使うこともできるようですので、読者との関係に課題を感じているメディアは検討してみてはいかがでしょうか?