広告配信プラットフォーム「LOGLY Lift」のログリー株式会社が大赤字を出しました。2022年3月期第3四半期の売上高は前年同期比36.2%減の20億2,700万円、5億7,400万円の純損失(前年同期は1億700万円の純利益)を計上しました。通期売上高を前期比33.1%減の26億5,100万円、5億9,800万円の純損失(前年同期は2,500万円の純損失)を見込んでいます。
ログリーの広告配信プラットフォームは課題を抱えており、特に売上高の伸び悩みは長期化する恐れもあります。
■ログリー業績推移(単位:百万円)
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売上高が大幅に落ち込んだ最大の要因が薬機法に抵触する恐れのある広告から手を引いたことです。2020年7月、大阪府警が健康食品の広告を配信した関係者を薬機法違反の疑いで逮捕したとの報道がありました。このニュースを受け、アドネットワークを提供するログリーは強力な収益源となっていた美容品や健康商品の広告から大幅に手を引かざるを得なくなったのです。
そして今回の大赤字の原因となったのが、2021年4月にmoto株式会社を買収した際に生じたのれん4億8,800万円の減損損失。のれんは被買収企業(moto)の純資産と買収額の差額で、固定資産に計上されます。ログリーは2020年9月末時点で純資産額1億5,500万円だったmotoを7億円で買収しました。motoは急速に収益性を失い、減損せざるを得なかったのです。
motoは転職メディア「転職アンテナ」を運用しており、2020年9月期の売上高は前期比58.0%増の3億1,600万円と大幅に伸長していました。利益率も高く、2019年9月期の営業利益率は52.5%、2020年9月期は25.3%でした。利益率が飛びぬけて高いのはmotoの経営者でアルファツイッタラーでもある戸塚俊介氏が個人で運用しているためと考えられます。
しかし、2022年3月期の売上高は当初の予想と比べて56.4%の減少、営業利益も42.5%減少する見込みであり、計画していた収益性が見込めなくなりました。
今回のログリーの決算は広告配信プラットフォームとSEOメディアの在り方を示唆するものです。