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バリューチェーンからメディアの競争力を考える…「メディアのイノベーションを生む50の法則」(#13)

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出村大進http://networkingevent.sakura.ne.jp/wp/
株式会社小学館マーケティング局。 毎月開催するメディア・マスコミ業界中心の勉強会&交流会「一冊会」を主催。 早稲田大学大学院経営管理研究科卒業。石川県生まれ。

メディアでイノベーションを実現するためにはどうしたら良いのか? そもそも「イノベーション」とは何なのか、イノベーションを加速させる要素とは一体何なのか、50の法則からメディアのイノベーションを考えていく連載「メディアのイノベーションを生む50の法則」です。

【法則31】バリューチェーンで商品製造と流通の強化を戦略に落とし込む

Key Words
〇バリューチェーン
〇マスコミの「流通」
〇「商品製造」力

マスコミの主たる活動は「調達」と「商品製造」

なぜマスコミはここまで大きい産業になり、そして今なぜ、急速に力を失いつつあるのか――それは、バリューチェーンで分析をすれば、明確に答えが出てきます。

バリューチェーンとは、ハーバード・ビジネス・スクールの教授だったマイケル・ポーター氏が著書『競争優位の戦略』の中で説いた分析方法で、「価値(Value)の連鎖(Chain)」のことを指します。企業の事業活動を「主活動」と「支援活動」に分け、さらに主活動を「調達」「商品製造」「流通」「販売」「アフターサービス」などに分けて分析をし、そのレイヤーごとの強みと弱みを明確にして、重要度の高い課題を洗い出す方法です。

バリューチェーンを、メディア企業に当てはめてみます。例えば、新聞社を落とし込んでみると、

  • 「調達」――取材や情報収集など。記事を作るために、材料を集める。
  • 「商品製造」――記事を編集、作成する。
  • 「流通」――販売店を通じて、全国の家庭などに配送。
  • 「販売」――販売店を通じて、販売、購読料の徴収。
  • 「サービス」――なし。売り切り型。

となります。

「流通」「販売」は販売店に依存しているところが大きく、新聞社の主たる活動は、「調達」「商品製造」に絞られるといえると思います。

マスコミの最大の強みは「流通」の強さ

ではなぜ、インターネットやモバイルメディアの普及により、新聞社はこれほどまでに勢いが落ちてしまっているのでしょうか――。それはバリューチェーンの「流通」と「販売」がネットに置き換わったからです。誤解を恐れずにいうと、マスコミの強みは、「調達」「商品製造」のコンテンツ作りというよりは、「流通」「販売」にあるからです。

  • 「新聞社」――販売店を通じて、全国に新聞を毎朝必ず届けることができる流通網がすでに作られているため、新たに同様の流通を作ることが難しく、新規参入ができない。
  • 「出版社」――本を作れば、取次を通じて全国の書店で販売することができる流通網を持つ。さらに再販制度で価格を決められたり、売上の取り分が約70%と出版社に有利だったりと、出版社が儲かる流通の仕組みを作り上げている。
  • 「放送局」――総務省から許可をもらった電波という流通を通じて全国の人たちにコンテンツを届けることができるため、総務省が電波の許可を制限しているため、新規参入ができない。

上記のように、マスコミの最大の強みは、新規参入が極めて難しい流通網を作り上げたことにあります。コンテンツを作りさえすれば、日本全国にそのコンテンツが行き渡り、さらにコンテンツメイカー側が儲かる仕組みを作り上げたことにあります。

「商品製造」と「流通」の強化が戦略のポイント

その最も強みである「流通」が、インターネットによって代替されるようになったので、マスコミの力が衰えてきたのは、当たり前のように感じます。今後はますますインターネットの普及や発展が進み、以前の流通がインターネット上に代替されていきます。マスコミは今後ますます苦戦を強いられることになるでしょう。

では、マスコミが今後、バリューチェーン上でどういった戦略を持って、中長期的に計画を立てていけばいいのか――。私は次の2つがポイントなってくると思います。

  • ①「商品製造」の強化
  • ②既存「流通」以外の流通の強化

①言わずもがなで大変恐縮ですが、マスコミ各社はコンテンツ作りのプロです。編集の力、世界観の作り方、見せ方のうまさ、面白さの引き出し方など、コンテンツ作りに関しては日本のトップレベルの力を持っています。そのコンテンツ制作力を生かし、Youtubeやブログやネットニュースサイトのどの流通に乗せても、ユーザーを満足させてしっかりとお金を取れるコンテンツを作っていくことが、マスコミ企業の戦略のポイントになってくると考えます。

②今、持っている強力な既存流通網以外の流通網を、早く作り上げることが2つ目のポイントになります。既存の流通網のように新規参入が難しい新たな流通網を、インターネット上で作れるかどうか、それが今後マスコミ企業が生き残れるかどうかの分かれ目になってくると私は考えます。

バリューチェーンで分析すると、その企業や業界の強みと弱み、顧客に届くまでのどのレイヤーに課題があるのか、さらに今後どこに焦点を当てて戦略を考えていけばいいのかを、明確にすることができます。「商品製造」と「流通」の強化で、日本のメディアが生き残り、世界で戦っていける企業になっていけることを願っています。

【法則32】メディア企業のR&D戦略~つながりの中で変容する研究開発の姿

Key Words
〇Research and Development
〇研究開発費と設備投資
〇P/L、B/S

新技術が新たな市場を切り拓く

新しい技術の登場によって、私たちの世界が変わることは、古くは15世紀、グーテンベルクの活版印刷の登場から普及、ここ最近ではインターネットの登場から普及において疑う余地はありません。活版印刷によって広まった聖書が、いまだ世界一読まれた書物とされるように、技術が変えるのは、メディア・コンテンツのあり方であり、人々の意識、社会そのものです。まさにイノベーションと言えるでしょう。

世界を変えるような新しい技術は、一朝一夕には生まれません。製造・販売・研究開発という事業の基本構造は、かつては”ジャパン・アズ・ナンバーワン”とされた日本の製造業を支えました。近年では、製造業はもちろん、ITの世界でも研究開発の考えは広まり、R&D:Research and Development として、製品ばかりではなく、技術そのものやサービスをより良いものにと、不断の試行錯誤が行われています。

総務省「令和2年情報通信白書」によると、2018年度のわが国における科学技術研究費の総額は19兆5,260億円で、そのうち企業によるものが14兆2,316億円とおよそ7割を占めています。前述の通り、企業の研究費の大半を占めるのは、その他の製造業で63.3%の9兆105億円、情報通信産業は27.4%の3兆9,056億円となっています。

企業の研究費は、2017年の13兆7,989億円から+3.1%伸び、ここ10年来最大で、R&Dが重要な企業戦略のひとつとなっていることが見て取れます。

少ない日本メディア企業の研究開発と設備投資

一方、同白書によると放送業の研究費は7億円、構成比では0.0047%と、同2018年度の放送事業者売上高3兆9,418億円に比して、かなり見劣りするように感じられます。同白書の参照先である総務省「科学技術研究調査」も見てみても、2018年度の日本企業の研究開発費の売上高比率は3.39%なのに対し、放送業は0.08%と全産業の中で最低となっていました。なお、この調査で「研究を行っている企業」は、放送業では5社とされています。

GAFAと呼ばれる企業群の研究開発費の売上高比率はおよそ15-20%前後で、一般に高い比率を占める医薬品メーカーを上回る程ですが、たとえば、NHKの2019年度決算に見る調査研究費は8,414百万円で、事業収入783,417百万円に対して、わずか1.14%に留まっています。

では、研究開発に資する有形・無形の固定資産の取得等、設備投資に振り向けられているのでしょうか。有価証券報告書を提出している民間放送27社の2019年度の設備投資額を見てみると、その合計額は1,285億円で2018年度に比べて-25.6%の442億円減となっており、ここ4~5年では、800億円台~1,700億円台の幅を持って推移しています。

2019年度の設備投資額が対象社中最大の38,570百万円となったフジメディアHDですが、その中身を見てみると、都市開発・観光事業への投資が大半を占め24,781百万円、同社の連結売上高631,482百万円に対して6.11%となっていました。2位の日本テレビHDは21,335百万円で、連結売上高426,599百万円に対して5.0%、主なものは、メディア・コンテンツ事業への投資で、スタジオの4K生放送対応、放送関連設備更新や拡張とされていました。

このように見ると、メディア・コンテンツ企業において、一部の設備投資が研究開発の一環となっている場合もあるようですが、未来を切り拓くための意思を持っての投資…とは、自信を持って言えないように感じます。

メディア・コンテンツ企業にもR&Dを

会計上、労務費を除く人件費や研究開発費は、販売費及び一般管理費として計上されるため営業利益、即ちP/L(損益計算書)に反映されます。一方、有形・無形固定資産の取得や有価証券の取得等は、B/S(貸借対照表)に反映されます。これをヒントに、将来への投資を、ソフト面である人材の確保や育成、研究開発等と、ハード面である設備増強、M&A等に分けて考えてみます。

これまでのトラディショナルなメディアは、伝達手段である電波や印刷物を生み出すために、放送設備や印刷設備に多額の投資を必要としていました。そして、その投資を回収するために、広告モデルや販売・課金モデルを採用し、コンテンツを制作・調達~送り届けるまでのバリューチェーンを構築することで、参入障壁を高めてきました。つまり、ハード面での投資が非常に効果的だったのです。

ところが、デジタル化によって、メディアの様々な機能、役割のアンバンドルとモジュール化が進行し、レイヤー構造を取るようになると、視聴者や読者が、その組み合わせを自由に選択できるようになり、相対的にハード面での投資、特に設備投資の効果は薄まります。コンテンツが、どのように伝達されるかという手段よりも、受け取った視聴者や読者がどのように感じ、どのように影響されるかという体験こそが重視されるようになり、コンテンツの質や量とともに、いかにコミュニケーションをデザインするかが、メディアに問われるようになります。

このようにメディアの価値が、コンテンツを中心につながり続ける視聴者や読者との関係性、体験にこそ求められるようになると、コミュニティの形成や運営、相互作用を生むサブスクリプションモデル等、コンテンツに係わる人材の確保や育成はもとより、つながりや体験自体をデザインする研究開発への長期的な投資が必要になります。前述の通り、会計上、研究開発費は、営業利益に反映することから、どうしても短期的なP/L視点に陥りがちですが、つながりとは、その言葉の通り常に持続性を必要とするものであり、戦略的な長期投資が必要になります。新たな技術が一朝一夕には生まれないとすれば、ハード面への投資に偏ることなく、ソフト面への長期的な投資判断が、メディア・コンテンツの行く末を定めることになるでしょう。

経済産業省「日本の研究開発費」によると、2012-2014年の主要国特許における1件当たりの研究開発費の中央値では、出版・放送が、医薬品のおよそ30百万ユーロを上回って、60百万ユーロ弱となっており、ばらつきが大きいものの、世界的には一定の研究開発費が投下されていると考えられます。

メディア・コンテンツが、人間のコミュニケーションを拡張する機能を担うと考えると、人々が不断の研究開発による新たな技術の登場と、それによるイノベーションを希求するのは、至極当然のように思われます。

【法則33】組織論から考えるイノベーションを生むメディアのチームとは

Key Words
①プロフェッショナル集団からの脱却
②ジョン・コッターの8段階のプロセス
③優れたビジョンの特徴6つ

組織単位でイノベーションを起こす6つの要素

イノベーションは個人一人の力で簡単に起こせるものでなく、チームが一丸となり、知恵と努力を結集させて、イノベーションに取り組む必要があります。『マネジメント』で有名な経営学者・ドラッガーも、イノベーションを生む組織をマネジメントすることが企業家にとって重要で、イノベーションはイノベーティブな組織から生まれると伝えています。

しかし、メディア業界を見渡してみると、編集者や記者、ディレクターなど、まだまだ個の力が強く、属人的な部分も多くて、チームとして一丸としてイノベーションに取り組む体制にまではいっていないように思います。では、イノベーションを生む組織を作るにはどうすればいいのでしょうか。メディア業界に合ったイノベーションを起こすチーム作りを、組織論の観点から考えてみます。

組織単位でイノベーションを起こすためには、何が必要なのか――。コンサル出身の山口周氏は著書『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』の中で、イノベーティブな企業が持つ特徴として、次の7つを挙げています。

  • ①人材の多様性
  • ②上下間での風通しのよさ
  • ③失敗に寛容な文化
  • ④ネットワーク密度
  • ⑤組織における遊びの存在
  • ⑥非線形で柔軟なプロセス
  • ⑦明確で共感できるビジョン

①~③は組織風土、④~⑥は組織構造、⑦はリーダーシップの領域になります。

では、メディア業界の組織の特徴は、どうでしょうか。メディア業界は、そのクリエイティブなコンテンツを作っているという仕事の特性上、長時間労働が染み付いててる業界の1つだと言えます。最近は少しずつ変わってきてはいますが、「長時間働くのが当たり前」という風潮が長かった組織のため、体力勝負の面もあり、男性社会や体育会系のイメージも根強く、ダイバーシティが進んでいない業界の1つだと言えるでしょう。

また、それぞれが仕事で専門領域を担っていることが多く、いわゆる職人文化で、手取り足取り教えるスタイルではなく、画一化された研修や評価制度などはあまり好まない傾向にあります。

こうした特徴を踏まえるとどうしても組織としても機能は弱まり、個の集合体になってしまい、1+1=2の成果しか残せないように感じます。

組織変革のためのコッターの8段階プロセス

では、どうすればメディア業界は組織単位でイノベーションを起こすことができるのでしょうか。私は、ジョン・コッターの8段階のプロセスに、ヒントがあると考えています。この組織変革のための8段階プロセスは、企業変革の必要性がますます高まる昨今のメディア業界で、意識しておきたい重要なステップだと言えます。

  • 【STEP1】危機意識を高める--市場と競合の状況を分析し、自社にとっての危機や成長機会を見つけ、検討していくことにより、変革に携わる関係者の間に「危機意識」を生み出すことができます。GAFAなどがメディアに進出し、IT業界とメディア業界の境目が無くなって来ていることを自覚することも有用だと思います。
  • 【STEP2】変革推進のための連帯チームを築く--変革をリードするための十分なパワーを備えたチームを築いていくために、変革の担い手を集めます。変革推進チームには、変革の主導に必要となるスキル、人脈、信頼、評判、権限があることが望ましいとコッターは述べています。
  • 【STEP3】ビジョンと戦略を生み出す――変革に導くためにビジョンを生み出し、ビジョンを実現するための戦略を立案します。なぜ、変革しなければいけないのか、なぜ今なのかを変革チームは完全に自分たちに落とし込んでいなければいけません。
  • 【STEP4】変革のためのビジョンを周知徹底する――シンプルで琴線に触れるメッセージをいくつものチャネルを通して伝え、ビジョンや戦略を周知徹底します。継続的に新しいビジョンと戦略をコミュニケートすると同時に、変革推進チームのメンバー自らが、従業員に期待する行動のモデルとなることも重要です。
  • 【STEP5】従業員の自発を促す――ビジョンが周知徹底されることで自発的に行動する人が増えていくように、変革を阻む人もでてきます。その障害を取り除くことも重要です。障害となりうる組織構造やシステムを変革することで、今まで遂行されたことのないアイディア、活動、行動の促進が可能となります。
  • 【STEP6】短期的成果を実現する――業績上で目に見える短期的成果を生む計画を立案し、実際に短期的成果を生み出します。これらの短期的成果に貢献した人々をはっきりと認知し、報酬を与えるといいでしょう。
  • 【STEP7】成果を生かして、さらなる変革を推進する――短期的な成果をテコとして変革に勢いをつけ、変革のビジョンに馴染まないシステム、構造、制度を変革します。また、変革ビジョン推進に貢献する人材の採用、昇進、能力開発を行い、当初の変革を定着させます。
  • 【STEP8】新しい方法を企業文化に定着させる――変革ビジョンに基づいた新しい方法と企業の成功の関係を明確に示し、各階層のリーダーが変革を根づかせます。また、リーダーや後継者の育成を進めていくことで、変革を企業文化として定着させることができます。

優れたビジョンを作るための6つの要素

特にメディア企業は、世界観をともに作り上げていかなければいけなかったり、「おもしろい」や「美しい」や「楽しい」の共通認識を持っていなければいけなかったりと、【STEP4】のビジョンが重要だと思いますが、コッターは優れたビジョンに備わる特徴として、次の6つを挙げています。

  • 「目に見えやすい」――将来がどのようになるのかがはっきりとしたかたちで示されている
  • 「実現が待望される」――従業員や顧客、株主などステークホルダーが期待する長期的利益に訴えている
  • 「実現可能である」――現実的で達成可能な目標から生み出されている
  • 「方向を示す」――意思決定の方向をガイドするために、明確な方向が示されている
  • 「柔軟である」――(変化の激しい状況において個々人の自主的行動とさまざまな選択を許容する柔軟性を備えている
  • 「コミュニケートしやすい」――5分以内で説明することが可能である

メディア企業に働いている方々は、個では素晴らしい才能や特出した感性を持っていると思います。こういった“個”が組織として一つにまとまることで、今までとはまったく違う、新しい価値を生み出していけるでしょう。組織作りがイノベーションにつながる――特に個の強いメディア業界では、成功につながる可能性が高いと、私は考えています。

【法則34】デジタルマーケティングを駆使して熱狂的ファンを創造する

Key Words
〇デジタルマーケティング・WEBマーケティング
〇ダブルファネル
〇未来のデジタルマーケティング

デジタルの力でマーケティングを進化させる

デジタルマーケティングという言葉が流行って久しくなります。もはや、デジタル抜きではマーケティングは語れず、マーケティングの中にデジタルが完全に入り込み、「デジタルマーケティング」という言葉すらなくなりつつあります。今回、あえてこのテーマを取り上げるのは、デジタルマーケティングは進化しているということ、さらに進化したデジタルマーケティングはメディア界にとって非常に重要で、今後のメディア業界の利益の柱になるかもしれないと考えたからです。

デジタルマーケティングとは、デジタルを駆使してマーケティング活動を行うことです。パソコンやスマホなどのデバイスはもちろん、DMPなどのデータや、MAなどのシステムを使い、新たな顧客を創造し、ファンにしていく事業活動のことを言います。よく、WEBマーケティングやデジタルプロモーションと混同されることがありますが、違いは明らかです。

  • 「WEBマーケティング」――マーケティングの4Pのうちの「宣伝」だけ、さらに、自社サイトやSNSなど、宣伝の中でもWEB上の媒体だけを使った宣伝活動のこと。
  • 「デジタルマーケティング」――マーケティングの4Pすべてをデジタル化によって進化させ、今までにできなかったことを、デジタルの力によって可能にしていくマーケティング活動のこと。

デジタルマーケティングでは、今までできなかったことができるようになると書きましたが、どういったことが可能になったのでしょうか。デジタルマーケティングの特長とともに、4Pに分けて説明していきます。

  • 「宣伝」――ターゲティング、パーソナライゼーション。性別、年齢、地域、趣味嗜好など、細分化された特定の層に、ドンピシャでリーチすることができる。さらに、ひとりひとり違ったビジュアル、媒体、PR方法で、商品を宣伝することができる。
  • 「商品」――DMPなどの顧客データやSNSの反応により、ニーズや市場規模を的確に把握することができ、商品開発に活かせる。またファンを囲い込むことができるため、商品の改善や新商品開発に活かせる。
  • 「価格」――ニーズや市場規模を的確に把握することができるため、価格弾力性が計算しやすく、一番利益が出る価格で発売することができる。
  • 「販売」――既存の販売チャネルだけでなく、ECサイトやSNSなどを使ったD2C、プラットフォーム、さらにはサブスクリプションなどで販売することができる。

その他にも、思い立ったらすぐに買える「即時性」や、商品を詳しく知ることができる「検索性」や、購入導線の数値を細かく「分析・検証」できることなど、デジタルマーケティングにはたくさんのメリットがあります。

熱狂的ファンを生むインフルエンスファネル

特に私が注目したいのは、ダブルファネルの進化です。デジタルマーケティング以前のAIDMAなどのパーチェスファネル、デジタルマーケティング以降にできたAISASなどのインフルエンスファネル、さらにそのインフルエンスファネルが、ファン→コアファン→アンバサダーにどんどん広がっていく進化は、ぜひチェックしておきたいポイントです。

  • 「パーチェスファネル」――認知、興味・関心、比較検討、購入。フェーズごとに人数が減少していく。AIDMAなど。
  • 「インフルエンスファネル」――継続、紹介、発信。フェーズごとに人数が増加していく。AISASのシェアなど。

熱狂的ファンを作りやすいアニメや漫画のコンテンツ、そのコンテンツを作っているメディア業界は、ぜひとも下部のファネルを強化するべきです。現在のメディア業界のマーケティング部門は、パーチェスファネル、特に認知にのみ力を注いでいる印象があります。これからの時代、人口減少やモノ消費からコト消費、事業のサービス化など、商品を売ることが難しくなる時代に向けて、インフルエンスファネルに注力するべきだと私は考えます。

デジタルの力が切り開くマーケティングの未来

未来のデジタルマーケティングは、どう進化していくのでしょうか。

  • 「宣伝」――パーソナライゼーションが進化。AIがその人に合ったコピーライティングとビジュアルを作成。現在のその人の心理状況なども考え、ぴったりのPR方法で宣伝できる。
  • 「商品」――AIリアルタイムマッチング。膨大な商品の中から、その人にぴったり合った複数の商品を、サービスとして提供できるようになる。
  • 「価格」――ダイナミックプライシング。データ分析による需要に合わせて、リアルタイムで価格を変える。ライブイベントチケットなど、その日の天候や曜日によって値段が変わるし、ドラマの1話目と最終話、同じ映画でも場所や時間などによって、値段が変わる。
  • 「全体」――MAが発達。見込み客をいち早くキャッチし、認知から購入まで、さらにはファン化まで、すべてMAにより自動で行う。

今までできなかったマーケティング活動が、デジタルの力でどんどんとできるように進化しています。「デジタル」と聞くと拒否反応を示す方が(ごく一部でしょうが…)いらっしゃると思いますが、ぜひ新しいマーケティングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ファンを作りやすいメディア業界こそ、デジタルマーケティングの力を存分に発揮できることでしょう。

(以下、第14回に続く)

連載: メディアのイノベーションを生む50の法則

第1回:メディアの変遷と未来
第2回:イノベーション理論の歴史
第3回:「左脳」×「普遍性」
第4回:「右脳」×「普遍性」
第5回:「左脳」×「時代性」
第7回:その他の領域 part1
第8回:「左脳」×「普遍性」 part2
第9回:「右脳」×「普遍性」 part2

第10回:「左脳」×「時代性」 part2
第11回:「右脳」×「時代性」 part2
第12回:その他の領域 part2
第13回:「左脳」×「普遍性」 part3
第14回:「右脳」×「普遍性」 part3(11/9ごろ公開)
第15回:「左脳」×「時代性」 part3(11/16ごろ公開)
第16回:「右脳」×「時代性」 part3(11/23ごろ公開)
第17回:その他の領域 part3(11/30ごろ公開)

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