メディア広告とコマースの循環を・・・メディアジーンの取り組みから【Media Growth Summit 2022】

Media Innovationでは、世界中のパブリッシャーを支援するPiano JAPAN株式会社との共催で、5月29日にメディアのグロースをテーマにしたオンラインイベント「Media Growth Summit 2022」を開催しました。 メディアジーンCSOの芹澤樹氏は、「メディアの価値向上を目指すメ…

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Media Innovationでは、世界中のパブリッシャーを支援するPiano JAPAN株式会社との共催で、5月29日にメディアのグロースをテーマにしたオンラインイベント「Media Growth Summit 2022」を開催しました。 メディアジーンCSOの芹澤樹氏は、「メディアの価値向上を目指すメディアジーンの戦略」と題して、メディア広告の歴史を振り返りながら、メディアとコマースの循環をつくる同社の取り組みを紹介しました。

芹澤氏は、自身の経歴と同社の概要について説明した後、同社の運営するメディアのひとつである「GIZMODO」が13年前に作成した媒体資料を参加者に見せ、メディア広告の歴史を振り返ります。媒体資料では、PV数が第一に強調され、記事配信先の主要ポータルサイト、被リンク数や読者の属性が掲載されていました。この資料から、芹澤氏は当時を「メディア価値=PV数の時代」と位置づけ、GIZMODOではこれに加えてグラフィック情報も重視されていたといいます。また、収益化の手段としても、純広告と記事広告のみでした。

GIZMODOの2009年版媒体資料

10年代前半には、SNSが影響力をもち「コンテンツ拡散時代」に入ります。メディアにおいても、一つのコンテンツを外部配信することによりいかに多く読まれるかを求めるようになりました。広告としても、自社ドメインでしか表示できない純広告ではなく、記事広告をポータルサイト等との取り組みで拡散するようになります。

ヤフーなどのプラットフォームがデータを持ち、メディア側が広告でイニシアチブを取れなくなると「データ活用の時代」へ進みます。各メディアは、CxenseDMP(現Piano)などのDMPを導入し、データを使ったレコメンデーションでユーザーを記事広告へ誘導するようになりました。メディアジーンでは複数のメディアを運用しているため、記事広告のコンテクストから適切な特性のメディアに掲載することで広告の価値を高めていきます。さらに、自社メディアの枠を超えて発展させたものとして、ブランドコネクトなどネットワーク広告も取り組まれました。

これまでの取り組みは、単純なPV数やデータ蓄積量でヤフーなどのプラットフォームに勝てない中で、いかにして記事広告の価値を上げるかという目的で行われてきました。そのために、媒体の特徴を可視化しようと様々な指標の乱立する「メディア広告指標時代」を迎えます。ここでは、想定PV数を増加させることで記事広告の価値を上げるのではなく、どういった層の購買にどれほど寄与したかなどのエビデンスにより記事広告の価値を高めるようになります。メディアジーンでは、メディア横断で展開でき、ある一定の層の購買に寄与するモデルが判明したことで、記事広告の提供から直接ユーザーへ向けたプロダクトの販売に取り組むことになります。

メディアジーンのコマースへの進出として立ち上げた、オリジナルクラウドファンディングプラットフォーム「machi-ya」

当初、メディアジーンではAmazonや楽天などのECサイトへのアフィリエイトリンクの掲載からコマース事業をスタートしました。その後、アフィリエイト広告に加えて更なる収益拡大のため、メーカーの運営するECサイトへの誘導やオリジナルプラットフォームの開設によって収益性の向上を図りました。このオリジナルプラットフォームである「machi-ya」は、ガジェットのクラウドファンディングサイトですが、外部コマースと異なり、ファーストパーティデータを蓄積しているため、12万人の会員に対して他サービスへの誘導もスムーズに行うことができます。

一方で、メディアを通したコマース事業の限界として、コマース関連記事の増加によるメディアのアイデンティティの棄損、外部プラットフォームに決済を依存するためファーストパーティデータが取れない、ユーザーに対してオリジナルの購入体験が提供できないといった欠点があります。これを解決するために、メディアジーンでは独自のECプラットフォームを開発しました。また、そこで得た購買データから、D2Cブランドの立ち上げも行っています。

広告とコマースの循環を目指すメディアジーンの成長戦略

最後に芹澤氏は、メディアジーンの今後の戦略としてメディアとコマースの循環について言及しました。メディアジーンでは、月間3,000万人のメディアユーザーに対して、メディアを通してプロダクトのストーリーをコンテンツとして届けることで、コマースへの流入をもたらしています。そしてメディアからコマースへ流入したユーザーデータの蓄積が、広告価値の向上や、D2Cブランドの立ち上げなどの商品開発、エンゲージメント強化につながっています。今後、各メディア・サービスで獲得したデータを、いかにメディアジーン全体で統合した価値向上に結び付けるかが課題となるようです。

ECサイトのメディア化は、これまでひとつのトレンドとして多くの事業者が取り組んでいましたが、メディアのコマースへの進出においては、顧客の到着地であるECサイトの構築、コマース記事の増加によるメディアの信頼性という二つの課題があると感じました。

《Taketo Yoshida》

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Media Innovation編集部 ジャーナリズムとニュースメディアのマネタイズに興味あり。

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