【メディア企業徹底考察 #62】王者フジテレビ陥落、メディア事業の日テレとの売上差はわずか1割に

株式会社フジ・メディア・ホールディングスの不調が続いています。2022年3月期の売上高は前期比1.0%増の5,250億円で着地しました。日本テレビホールディングス株式会社は同3.8%増、株式会社TBSホールディングスは同10.0%増、株式会社テレビ朝日ホールディングスは12.7%…

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株式会社フジ・メディア・ホールディングスの不調が続いています。2022年3月期の売上高は前期比1.0%増の5,250億円で着地しました。日本テレビホールディングス株式会社は同3.8%増、株式会社TBSホールディングスは同10.0%増、株式会社テレビ朝日ホールディングスは12.7%増でした。フジテレビの出遅れが目立ちます。

新型コロナウイルス感染拡大で旅行、外食、公共交通機関を中心に宣伝を控える動きが拡大。テレビ局はその煽りを受けました。2021年3月期は各社1割程度売上高を落としています。しかし、フジテレビだけが前期比17.7%減となり、10%超の減収となっていました。すなわち、フジテレビはコロナ禍の落ち込みが激しかったうえ、回復も遅れているのです。

■民放キー局売上高の推移(単位:百万円)

※決算短信をもとに筆者作成

主力のメディア事業を切り取ると、日本テレビの売上高がフジテレビに肉薄しています。その差はわずか1割。日本テレビが、かつての絶対王者フジテレビを追い抜く日が近づいています。

不動産事業で会社全体の業績をカバー

フジテレビのメディア事業の2022年3月期の売上高は前期比5.6%減の4,150億円。主力のメディア事業は売上高が落ち込んでいます。ホールディングスとして売上高が1.0%伸張しているのは、不動産事業の売上高が前期比38.7%も伸びたため。保有する物件の売却によって大幅増収となりました。

日本テレビのメディア事業2022年3月期の売上高は前期比3.4%増の3,768億円でした。TBSが同10.9%増の2,814億円、テレビ朝日が13.2%増の2,413億円。実は民放キー局の中で唯一フジテレビだけが、メディア事業において売上高を落としています。

■メディア事業売上高

※決算短信より筆者作成

日本テレビとフジテレビのメディア事業の売上差は9.2%。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年3月期は27.5%もの開きがありました。

売上差が縮まった背景には、メディア事業の中核を担う株式会社フジテレビジョンの売上高が落ちていることもさることながら、それ以外の子会社の稼ぐ力が弱まったことがあります。

■フジテレビのメディア事業を構成する子会社

※フジ・メディア・ホールディングス「決算説明資料」より

株式会社ポニーキャニオンの2021年3月期の売上高は前期比24.3%減の310億円。2022年3月期は更に0.6%落として308億円で着地しました。また、株式会社DINOS CORPORATIONが2021年3月にセシール事業を売却。ディノスの売上高は2021年3月期の1,019億円から604億円へと40.7%減少しています。

2019年3月期の段階で、メディア事業に占めるフジテレビジョンの売上構成比率は50.9%でしたが、2022年3月期は57.4%まで上昇しました。すなわち、それだけ別の子会社の稼ぐ力が失われたことになります。

フジテレビジョンへの依存度が高まることは、フジテレビにとって決して良いことではありません。フジテレビは2011年ごろから急速に視聴率を落とし、2016年から最下位に甘んじているためです。


《不破聡》

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