株式会社電通デジタルと株式会社電通グループは、メタバースをはじめとする3D空間メディアの心理的影響やマーケティング効果を分析しています。このたび、第一弾として「ブランドイマーシブタイム」という新たな指標を提唱し、顧客企業のマーケティングへの活用に向けて検証を推進していくことを発表しました。
メタバースの市場規模は、世界では2030年に123兆9738億円、日本では2026年度に1兆42億円まで拡大すると予測されています。メタバース上での商品購入やバーチャル展示会、接客や教育など、多岐にわたる用途での活用が注目を集めています。しかし、3D空間メディアではユーザーの体験や行動が複雑であり、行動データの活用が困難で、マーケティング効果を測定する確立された手法がないことが課題でした。
電通は昨年開催した「東京ゲームショウVR 2023」のメタバース空間での実行動データとアンケート調査データを統合して分析できる環境を構築しました。その結果、「チャット利用」「アバター装着」「スタンプ使用」など10項目の中で、「ブース滞在時間の長さ」が商品・ブランドの「好意度」「購買意欲」向上に最も寄与する要素であることが分かりました。この滞在時間に没入度を左右するデバイスごとの係数を掛け合わせたものを「ブランドイマーシブタイム」と定義し、今後さまざまな3D空間メディアでの検証・測定を実施していきます。
これまでは、企業がメタバース空間で何を基準にどのような施策を実施すべきかの判断材料がありませんでしたが、今後は「ブランドイマーシブタイム」を一つの基準とすることで、滞在時間が長くなるようなコンテンツ・演出の開発など、より効果的な体験設計が可能になりそうです。
