フジ・メディア・ホールディングスは2026年8月4日、2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結決算を発表しました。売上高は前年同期比28.2%増の1,488億円、営業利益は前年同期の127億円の赤字から160億円の黒字へと大幅に改善し、2008年10月の持株会社制導入後、四半期として過去最高の営業利益を記録しています。親会社株主に帰属する四半期純利益は102億円で、前年同期比848.4%の増益となりました。

メディア・コンテンツ事業が黒字化、フジテレビの放送収入が事案前水準に回復
メディア・コンテンツ事業の売上高は前年同期比52.4%増の1,016億円、セグメント利益は前年の203億円の赤字から90億円の黒字へと転換しました。営業利益はメディア・コンテンツ事業としてのセグメント導入以来、2018年度第1四半期以来の最高益です。

フジテレビの地上波テレビ広告収入は、前年の不祥事を受けた落ち込みから大きく回復し、ネットタイムは事案前の水準を上回り、スポットもほぼ同水準にまで戻っています。配信広告収入も前年同期比で大幅な増収となり、事案前水準への回復基調が続いています。番組費はワールドカップサッカー放映権等により増加しましたが、効率化は継続しているとのことです。
コンテンツ・ビジネス分野では、動画配信サービスFODが「F1」中継効果による会員・収入増に加え、外部プラットフォーム向けコンテンツ販売も好調で増収となっています。アニメ事業ではIP育成エコシステムが奏功し、「めざましテレビ」放送中の「ちいかわ」「パペットスンスン」といった人気作品が貢献しました。

ポニーキャニオンはアニメ作品の海外向け販売や音楽・映像の配信収入増により増収となり、前期末のアニメ制作費用の評価損計上で当期の費用負担が軽減されたこともあり、営業損益は黒字化しています。ニッポン放送はタイム収入が好調な放送事業とイベント事業が牽引し増収増益、フジパシフィックミュージックも著作権使用料収入に加えて映像制作収入やマネージメント収入が伸長しました。一方、dinosは家具収納・リビング系が好調だったものの、テレビ通販やカタログ通販のファッション商材が振るわず減収減益となっています。

都市開発・観光事業は減収減益、販売・売却は好調だが観光に反動減
都市開発・観光事業の売上高は前年同期比4.7%減の450億円、セグメント利益は同11.0%減の74億円と減収減益でした。
サンケイビルは連結子会社化後の第1四半期として売上高・営業利益ともに過去最高を達成しています。オフィスビルや賃貸レジデンス、ホテルの賃料収入は引き続き好調で、ルフォンプログレ中野富士見町ザ・レジデンスやキャプション by Hyatt なんば 大阪の売却も寄与しました。ただし今期竣工物件のフリーレント等の開業時初期赤字により賃貸部門は減益となっています。
グランビスタ ホテル&リゾートは、訪日観光客が前年割れとなったことや前年の関西万博の反動減により減収となりました。銀座グランドホテルの改装休館や神戸須磨シーワールドのオープニング期からの反動減に加え、物価高騰・人件費増加も重なり減益です。札幌グランドホテルや鴨川シーワールドは引き続き好調に推移しています。

中期経営計画「Group Vision Ver1.0」と成長投資1,500億円の全体像
同社は2026年5月に中期経営計画「Group Vision Ver1.0」を発表しています。資本収益性の向上を重視し、2030年度にROE6%、メディア・コンテンツ事業の営業利益350億円+αを目標として掲げました。
この実現に向け、向こう5年間で総額1,500億円規模の成長投資を計画しています。バリューチェーンを3つの重点強化領域に分け、それぞれの投資枠と投資方針、目指す営業利益を設定しました。3領域は「IP開発・獲得」「制作・ディストリビューション強化」「IP多角展開」で構成されています。
人的資本への投資も重要な柱に位置付けられています。「IPバリューチェーンを一気通貫で推進できる人材基盤への戦略投資」として150億円の投資を決定しており、重点投資領域の中核人材獲得・育成を中心に、成長投資の実行力と成果創出力を高める方針です。
都市開発・観光事業への外部資本導入を検討中
同社が注力する構造改革のもう一つの柱が、都市開発・観光事業への外部資本導入です。メディア・コンテンツと都市開発・観光の両事業の成長を両立させつつ、資本効率性向上のための株主還元拡充を同時かつ早期に進行させるため、都市開発・観光事業のオフバランスを実行し同事業のさらなる成長を図ることが最も適切と判断したとしています。

公表後、多数の事業会社やファンドからさまざまな提案を受けており、手法・時期・規模等について企業価値および株主共同の利益の最大化の観点から検討を進めています。なお、通期の連結業績予想には外部資本導入を前提としていません。外部資本導入の確定後には、キャピタルアロケーションを含む資本政策の詳細や数値目標のアップデートを盛り込んだ「Version 2.0」を公表する予定です。
コーポレートガバナンス強化の具体策
ガバナンス面でも複数の施策が進行中です。取締役11人中6人を独立社外取締役とし過半数を確保、メディアやコンテンツに専門的な知見を持つメンバーで構成されています。「取締役会事務局」を新設して審議の活性化を図るほか、「リスクレジスター制」に基づく新たなリスク管理体制を構築し、危機発生時のエスカレーション体制の周知を徹底しています。
また、2026年3月期の有価証券報告書を株主総会開催前の6月24日に提出し、株主総会における権利行使環境の整備に取り組みました。今後はさらなる前倒しの検討も進めるとしています。

通期業績予想と株主還元
2027年3月期の通期業績予想は2026年5月12日公表値から変更なく、売上高6,257億円(前期比13.4%増)、営業利益401億円(黒字化)、親会社株主に帰属する当期純利益261億円(同301.6%増)を見込んでいます。年間配当は200円(中間100円・期末100円)の予想で、前期の125円から大幅な増配となる見通しです。

同社は「Group Vision」の初年度として増収黒字化を見込んでおり、フジテレビの広告収入回復を足がかりに、IP戦略を軸とした成長投資と都市開発・観光事業の外部資本導入という二つの構造改革を並行して進めていく方針です。









