リクルートの売上高に当たる2021年3月期の売上収益は2兆2,693億4,600万円となり、前期比5.4%の減少となりました。営業利益は前期比21.0%減の1,628億2,300万円。営業利益率は8.6%から7.2%に悪化しました。屋台骨となる人材派遣(リクルートスタッフィング)の売上が新型コロナウイルス感染拡大の影響で前期比4.0%減となったほか、ゼクシィの売上が前期比42.4%減、じゃらんが26.6%減、HOTPEPPERグルメが64.0%減と軒並み減少。メディア事業を支える求人も31.9%もの減少に見舞われました。
■リクルート業績推移(単位:百万円)
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求人広告が苦戦する中、堅調だったのが2012年10月に子会社化したIndeed。アメリカの景気回復とともに雇用が上向き、売上を前期比0.4%の減少に留めました。リクルートは2022年3月期の売上収益を下限で8.0%増の2兆4,500億円、上限で14.6%増の2兆6,000億円と強気の予想を出しています。その命運を握っているのもIndeedとなりそうです。
この記事ではリクルートの業績を分析し、コロナ禍でどのような影響を受け、伸びしろがどこにあるのかを解説します。
目次
求人のEBITDAマージンが27%から17%まで低下
リクルートの事業は大きく3つに分かれています。人材派遣、メディア、Indeedです。売上のおよそ50%を人材派遣が占め、30%がメディア、20%がIndeedという構成になっています。メディアは求人、SUUMO、HOTPEPPER、ゼクシィ、じゃらんが主力となり、多くは企業からの広告が収入となります。
■リクルート事業売上構成コロナ前後比較
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新型コロナウイルス感染拡大前と後で売上構成比率を比較すると、求人が13%から9%まで縮小し、大きな影響を受けていることがわかります。メディアの中では不動産情報のSUUMOと美容のHOTPEPPERビューティーは堅調。ゼクシィ、じゃらん、HOTPEPPERグルメは縮小しました。コロナ禍で負の影響を受けた業界と符合しています。
人材派遣事業の売上は4.0%減の1兆1,988億円となりました。企業が今は採用を抑えているため、リクルートはこの事業を無理に伸ばそうとはしないはずです。需要が回復するのを粘り強く待つほかありません。もともとこの事業はキャッシュベースの利益率を表すEBITDAマージンが低く、業績を伸ばすインセンティブが働かない領域でもあります。
■人材派遣セグメント業績推移(単位:億円)
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