【メディア企業徹底考察 #85】ダウンラウンド上場のnote、成長には法人事業が鍵?

メディアプラットフォームのnote株式会社が2022年11月17日に上場承認され、12月21日にグロース市場に新規上場します。 売出と公募を含む上場時の発行済株式総数は1,482万7,900株、1株当たりの想定発行価格は300円。上場時の時価総額は44億円で、2022年4月の中国テンセン…

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メディアプラットフォームのnote株式会社が2022年11月17日に上場承認され、12月21日にグロース市場に新規上場します。

売出と公募を含む上場時の発行済株式総数は1,482万7,900株、1株当たりの想定発行価格は300円。上場時の時価総額は44億円で、2022年4月の中国テンセント系ベンチャーキャピタルImage Frame Investmentから調達した直近ラウンドの時価総額330億円からの大幅なダウンラウンドとなりました。

SNSを中心にダウンラウンドIPOを批判するコメントが多く見られますが、2022年9月29日に上場した英語学習サービスの株式会社プログリット、12月19日上場予定のインフルエンサープラットフォームの株式会社トリドリ、12月15日上場予定のECマーケティング支援のAnyMind Group株式会社もダウンラウンドIPO。株式市場の急速な冷え込みでスタートアップへの投資意欲が減退したため、市況の悪化が多いに影響しています。

しかし、noteの価値の毀損は突出しています。

このタイミングで上場した理由はどこにあるのでしょうか。また、今後の成長ドライバーはどこにあるのでしょうか?

人件費の負担が売上高の6割に達する

noteは2011年12月に加藤貞顕氏が設立したピースオブケイクが前身。加藤貞顕氏はアスキーやダイヤモンドで雑誌や書籍の編集に携わりました。堀江貴文氏の『ゼロ』といったベストセラーを手掛けています。2012年9月にメディア「cakes」をスタート。出版社とクリエイターが連携し、マンガやコラムといった独自コンテンツを配信しました。

2016年3月から同メディアに連載されたマンガ『左ききのエレン』は『少年ジャンプ+』でリメイク版が連載されたほか、2019年にテレビドラマ化されています。

ヒット作を輩出したメディアでしたが、編集側とクリエイター側との軋轢が絶えなかったことや、クリエイターの連載が一部ユーザーから批判されて大炎上するなど、問題が多かったことから2022年8月にサービスを終了しました。2014年に立ち上げた個人の情報発信をサポートする「note」と、企業の情報発信ツール「note pro」が会社の成長を支えています。

しかし、noteは過去5期一度も黒字化を果たしていません。

2022年11月期第3四半期は売上高が17億2,900万円、5億2,100万円の経常損失を計上しています。第3四半期の時点で2021年11月期通期から赤字幅は拡大しました。第3四半期の数字をもとに通期の売上高を予想すると23億円程度になると考えられますが、赤字幅は広がる可能性があります。

noteの利益を圧迫している2大要因が人件費と決済手数料。特に人件費負担が重く、2022年11月期第3四半期は売上高の60%にも達しています。

売上高の60%が人件費で引かれ、26~27%程度の決済手数料が毎期発生しています。この2つの項目で売上高の8~9割がとられている計算です。


《不破聡》

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