アプリ分析のApp Apeを提供するフラー株式会社が、2023年6月19日に上場承認を受け、7月25日にグロース市場に新規上場します。
フラーはApp Apeを主軸として成長してきましたが、現在この事業の売上高は全体の2割程度しかなく、アプリやWebサイトの受託開発が主力事業となりました。
受託開発の受注増で売上高は堅調に伸びているものの、地方都市に拠点を置くフラーは人材確保や育成で苦戦する可能性も高く、App Apeを再び成長軌道に乗せるか、別のSaaS系サービスの開発が必要になるかもしれません。
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上場直前期は大幅な減益を予想
App Apeはニュースキュレーション「NewsDigest」を提供する株式会社JX通信社や、株式会社TBSテレビなどでも導入されたサービス。ブラックボックスになりがちなアプリの利用状況を、数値で把握することができます。Webサイトを分析するGoogleアナリティクスのアプリ版のようなサービスです。
フラーは2013年4月にApp Apeの原型となる「アプリ分析レポート」をリリースしました。2017年4月には韓国のモバイル専門マーケティング会社Mobidaysと提携。韓国市場にも進出しています。
B Dash Ventures(保有比率8.42%)、Global Catalyst Partners Japan(同7.97%)などのベンチャーキャピタルから資金調達を重ねてきました。2021年3月にはKDDIと資本業務提携契約も結んでおり、累計で14億円を超える金額を調達しています。
2021年6月期からは利益が出るようになっています。2022年6月期の売上高は前期比24.0%増の12億4,500万円、経常利益は同167.7%増の1億6,600万円でした。
なお、フラーは2020年に決算月を3月から6月に移しています。2020年6月期の数字は、4~6月の3か月間のものです。
■フラー業績推移
2023年6月期の売上高は前期比20.5%増の15億円と増収にはなるものの、経常利益は34.9%減の1億800万円と大幅な減益を見込んでいます。フラーは減益要因の一つとして、人件費が膨らんでいることを挙げています。
上場直前期の減益予想は確実にマイナス材料と捉えられるでしょう。