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素人のターンがやってきた、ただし賞味期限は短いぞ【Media Innovation Newsletter】5/9号

毎週土曜日発行、メディア業界の一週間を振り返る「Media Innovation Newsletter」です。今週のテーマ解説では「素人でも許されるリセットのタイミング」について書きます。新型コロナウイルスがもたらしたニューノーマル(新常態)に早めに適応を!

Media Innovation Guild会員向けのニュースレター「Media Innovation Newsletter」 では毎週、ここでしか読めないメディア業界の注目トピックスの解説や、Media Innovationの人気記事を紹介していきます。

・今週のテーマ解説 素人のターンがやってきた、ただし賞味期限は短いぞ
・今週の人気記事トップ10 コロナは写真家も直撃
・会員限定記事から 広告は不調、サブスクは好調
・編集部からひとこと 

今週のテーマ解説 素人のターンがやってきた、ただし賞味期限は短いぞ

新型コロナウイルス(Covid-19)は世の中に決定的な変革をもたらしました。英語圏で出回っていたジョークに「Q:あなたの会社のDXを推進したのは誰? A:(1)CEO (2)CIO (3)コロナ」(DX=デジタルトランスフォーメーション)というものがありました。これに同意する人も多いでしょう。外出が制限される中で多くの企業が瞬く間に、仕事のあり方を変化させていきました。

一部は揺り戻しがありそうですが、一部は定着することが期待されます。例えば公共交通機関の利用は以前の4割も減少する可能性があるとアナリストの声としてBBCは報じています。テレビ会議ツールの普及で、日常の移動が相当程度代替され、直接会う事は貴重でより重要な体験になる可能性があります。

ビジネスの現場でもイベントや展示会で見込み客を探していたのが、特にB2B企業では一斉にウィビナーに移行しています。ヤプリの島袋氏がまとめたマーケティング関連のウェビナーカレンダーによれば5月の第3週だけで67本ものウェビナーが実施されるそうです。単にオンラインで出会うだけでは十分ではないでしょうが、入り口は確実に変わっています。

さて、メディアはどうでしょうか?

CNNによれば、コンデナストは食のメディア「Bon Appétit」で以前に開催していたリアル会場での編集者やシェフと一緒に楽しむイベントに変わって、オンラインで同様のイベントを開催。YouTubeで実施し、寄付機能で集まった20万ドルは災害時に食事を提供する活動を行っている非営利団体に渡されたそうです。さらに3日間で2800人の新規サブスクリプション会員の獲得にも繋がったそうです(過去最高のペース)。

また、ウォール・ストリート・ジャーナルも専門性の高いビジネスパーソン向けのイベントを多数開催してきましたが、オンラインに切り替え、4月に開催したZ世代向けのマーケティングに関するイベントでは300ドルのチケットを600人以上が購入したそうです。これまでも複数都市で開催していましたが、オンラインになることで「全国から集ってもらえた」と手応えを得ているようです。

どちらの事例も簡単な転換だったわけではないでしょう。ただ、この危機の中では「誰もが素人でも許される」という稀有な事態になっているように思います。もちろん、いち早く試行錯誤をして腕を磨いて、この環境に適応したスタイルを確立した人が生き残っていく、というのは当然ですが。

筆者は以前ゲームメディアの編集をしていたのですが、ゲームの歴史の中でも似たようなシチュエーションが何度かありました。例えば任天堂の「ゲームボーイ」というゲーム機は、当時普及していた一般的なゲーム機がカラーで立派なコントローラーを備えていたのに対して、画面はモノクロで、操作は備え付きのキーで貧弱でしたが、持ち運べるという特徴がありました。

任天堂のゲームボーイ。緑のモノクロ画面が懐かしい。 Photo by Hello I’m Nik 🎞 on Unsplash

また2000年代後半はSNSと連携した「ソーシャルゲーム」というスタイルが生まれました。Facebookやmixiと連携した簡易的なゲームから始まったソーシャルゲームは、ウェブの技術で、誰でも簡単に参入することができました。この時の新しい特徴は、簡単に友達と一緒に遊べるということでした。

どちらもそれまでと比べて技術的なハードルが下がって、ユーザーからの期待値も高くなかったため、沢山の参入がありました。それで一気に人気を集めて成功した企業もあります。ただ、もともとの大手も数年経つとキャッチアップしてきて、今はまた大手が強い市場になりましたが。新型コロナウイルスもそんな新規参入のチャンスを一気にもたらしたように思います。色んな事が若干チープでも許され、参入していくチャンス。新しい取り組みを始めるチャンスです。でも、ボーナスタイムはそう長くは続かないので、さっさと始めるのが吉です。

MIでもオンラインでのイベントにチャレンジしていきます。18日にはメディアと広告主のマッチングイベントを初めて開催します。また、6月5日には10名の登壇者による初のカンファレンスイベントを開催します。これまでは有料セミナーばかりを実施していましたが、今回はどちらも無料で、沢山の読者の方に参加いただきたいと思っています。

と宣伝のようになってしまいましたが、成熟した市場の中では逆転するチャンスはそう多くありません。今はメディアにとって簡単な状況ではありませんが、見方によってはチャンスが多いのではないか? という風に考えています。

今週の人気記事トップ10 コロナは写真家も直撃

ピクスタが実施したアンケート調査から、フォトグラファーの90%が収入減となっていることが分かりました。メディアの取材もそうですし、結婚式などのイベントも軒並み中止になっていることから大きな影響がありそうです。半数は案件がほぼ無くなったと回答しています。こればかりは正常な経済活動が再開されるのを待つ他ないかもしれません。

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会員限定記事から 広告は不調、サブスクは好調

新型コロナウイルスの影響に関する話題が引き続き多くなっています。ユーザー行動の変化から、SNSの投稿時間や、広告への関心にも変化があるようです。

各社の1-3月の決算も発表されていっていますが、広告は大きく減少、サブスクリプションは伸びた、というのが一致した傾向のようです。広告のみで運営されていたメディアでは、ユーザー数の伸びに対して、広告収益は減少するという厳しい状況が見られます。

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編集部からひとこと 

ゴールデンウィークが明けて、木曜・金曜だけの平日でしたがお疲れさまでした。暫く仕事をしてないでいると、2日間でもなかなかヘビーだった私です。

最近の息抜きは、娘と一緒にNintendo Switchの『あつまれ どうぶつの森』を遊ぶこと。全然進められていませんが、ぼちぼち島での生活を楽しんでいます。1ヶ月で世界で1200万本近くが売れた超大ヒット作になり、色々な企業がマーケティング活動に使おうという動きも出ています。そんなところで、ハフポストが15周年をゲームの中で祝ったという話も。ほっこりした土曜日です。

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Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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