毎週土曜日発行、メディア業界の一週間を振り返る「Media Innovation Newsletter」です。今週のテーマ解説では「メディアの東京集中は終わるか?」について。何度も議論されてきたことですが、そろそろあるのでは? とも思います。
Media Innovation Guild会員向けのニュースレター「Media Innovation Newsletter」 では毎週、ここでしか読めないメディア業界の注目トピックスの解説や、Media Innovationの人気記事を紹介していきます。
・今週のテーマ解説 メディアの東京集中は終わるか?
・今週の人気記事トップ10 ぐるなびが楽天との連携で業績回復
・会員限定記事から 海外プラットフォームの動き激しく
・編集部からひとこと
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目次
今週のテーマ解説 メディアの東京集中は終わるか?
新型コロナウイルス(Covid-19)は17日の新規感染者が東京で5名、大阪で0名と新たな局面を迎えました。先日には39都道府県で緊急事態宣言が解除され、残りの地域も近日中に新しい判断がされると言います。第二波の懸念はありながら、経済再開を探りつつ、新たな生活様式でウイルスとの共存を図っていくフェーズになったのではないでしょうか?
2月から5月にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大で様々ざなものが変化を迫られました。良いものも悪いものもありますが、やってみたら意外に良いのでは?と考えられたのがリモートワークではないでしょうか。デジタルメディアのみならず、テレビやラジオ、雑誌などもリモートワークに対応した制作体制を構築しています。17日に放送された「笑点」もリモートで行われ、話題となっていました。
多くの企業が緊急事態宣言を受けてこうした体制を構築しましたが、解除となった際の対応が注目されます。グーグルとフェイスブックは夏にはオフィスを再開する一方で、希望する従業員は年末までリモートワークを認めるとしています。ツイッターは半永久的に認める方針です。日本企業でもドワンドは在宅勤務を基本とすることを明らかにしています。こうしたテクノロジー企業はいち早く、オフィスのない時代に対応しようとしているようです。
メディア企業はどうでしょうか? ワシントン・ポストやCNNはオフィス再開は9月以降になると明らかにしています。メディアという特性上、リモートデモ勤務は十分に可能で、これまでもそうした勤務形態のスタッフを数多く抱えていたと考えられ、敢えて早期にオフィスに戻るという判断はなさそうです。
ちょうどCNNが新型コロナウイルスによってニューヨークとワシントンDCという東海岸と、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトルなどの西海岸に集中したアメリカのメディアが変わる転機になると指摘しています。CNNは一部の地域からの集中を廃することで、多様性を獲得し、生産性を向上できると述べています。また、ProPublicaのように全国に散らばるジャーナリストをうまく結びつけて運営しピューリッツァー賞まで獲得している例があると紹介しています。
日本でも同様の事が起きるでしょうか? 日本はアメリカ以上に東京一極集中の状態だと言えます。筆者は確実に起きると考えます。テクノロジーの進化、商習慣の変化によって、オフィスがない、実際に会えない、という事がマイナスでなくなれば、都心で高いオフィスを借りて、より高い賃金を払って、枚員電車でスタッフを疲弊させるというのは競争上不利になっていきます。
また、完全にオフィスを無くさなくとも、リモートで全国、世界中から能力のあるスタッフを集めてメディア作りをしていくというのは当たり前になっていきます。集まらなくても、優秀なスタッフを連携させて成果を出していく事ができるかが今後の競争優位になっていきます。何らかの事情で地理的な制約があった人にとってもチャンスが巡ってきます。
非常事態宣言下で、対処療法的にオフィスを閉鎖し、リモートワークに移行した企業が大半と思われますが、オフィスに戻るのを心待ちにするのではなく、この新しい現実と、この3ヶ月で一気に知見が溜まってきた新しい働き方をチャンスと捉えて事業に活かしていけるメディアや企業が次のリーダーになっていくのではないでしょうか。
今週の人気記事トップ10 ぐるなびが楽天との連携で業績回復
先週は続々と第3四半期の業績発表がありました。中でも注目を集めたのは、ぐるなびの業績。同社は厳しい競争環境の中で業績を落としてきましたが、楽天グループに入ったことで回復を見せているようです。ライフスタイルに密着したサービスはプラットフォームとの連携が非常に効果的という事が言えそうです。食の分野では、ヤフーも一休を子会社化し、Rettyにも資本参加しています(YJキャピタルを通じて)。
1.ぐるなびの通期業績、楽天との連携効果やサイト改善で大幅増益
2.Zoomなどオンライン会議の背景に本はいかが? キュレーションで活路を見出す書店
3.ユーザベース、子会社Quartzで大規模なリストラを実施
4.新型コロナウイルスで中止になった音楽・演劇等の支援策で878億円、配信等での代替向けに
5.「NEXT CHALLENGE」一人目のキーノートはインフォバーン代表・小林弘人氏に決定
6.日本経済新聞社、サイバー攻撃により社員等の個人情報が流出
7.オールアバウトの通期は増収増益、「サンプル百貨店」が好調
8.Instagramが国内でギフトカード機能を導入…新型コロナウイルスの影響を受けている中小ビジネスを支援
9.PR TIMES、過去最高の新規登録とアクセス数を更新・・・広報リモート化の兆し
10.弁護士ドットコムの通期は増収ながら減益、有料会員は微増
会員限定記事から 海外プラットフォームの動き激しく
会員限定記事では海外のプラットフォーム関連の記事が人気を集めた一週間でした。フェイスブックはコンテンツの監督のために監督委員会を発足し、各界の大物を揃えました。ツイッターは新型コロナウイルス対策で誤った情報にラベルを付けるという施策を開始しました。
米国でも決算発表が相次ぎ、テレビの四大ネットワークの業績をまとめた記事も人気でした。楽天が投資しているPinterestも決算を発表。地道にグローバルなユーザー基盤を拡充していて、そろそろ無視できない存在になっているようにも見えます。
2.運用型広告費、メディアに届くのは約5割・・・原因不明のコストも
3.日テレ、グーグルから資金提供を受け拡張現実を使ったニュースコンテンツ展開を推進
4.BuzzFeed、イギリス・オーストラリアでニュース事業から撤退
5.テレビに新型コロナウイルスはどう影響した? 米国の四大ネットワークの決算を比較
6.Facebook、デスクトップ版を全面リニューアル・・・ダークモードにも対応
7.「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサブスクが220万人を突破、広告は急落もデジタルは踏みとどまる
8.フェイスブックは変わるか?コンテンツに強い権限を持つ監督委員会を発足・・・元首相やノーベル賞受賞者も
9.引き続き高い成長率を続けるPinterest、第1四半期の業績を発表
10.Twitter、新型コロナウイルスの有害コンテンツにラベルと警告メッセージ
編集部からひとこと
明日は初のビジネスマッチングイベントを開催します。200名近い方に登録いただいています。初の試みなのでドキドキですが、何とか良いものを提供できればと・・・思っております。
6月5日(金)のカンファレンスイベントもようやく固まってきました。ぜひこちらもチェックをお願いします。
ちょっとフラフラなので今日はここまで。今週も頑張っていきましょう。