報道機関は政府からのお金を受け取るべきか【Media Innovation Newsletter】4/25号

毎週土曜日発行、メディア業界の一週間を振り返る「Media Innovation Newsletter」です。今週のテーマ解説では報道機関は政府の支援を受けるべきかという話題をお伝えします。

Media Innovation Guild会員向けのニュースレター「Media Innovation Newsletter」 では毎週、ここでしか読めないメディア業界の注目トピックスの解説や、Media Innovationの人気記事を紹介していきます。

・今週のテーマ解説 報道機関は政府からのお金を受け取るべきか
・今週の人気記事トップ10 C Channelが上場承認も
・会員限定記事から 特集記事が人気を集める
・編集部からひとこと 

今週のテーマ解説 報道機関は政府からのお金を受け取るべきか

ニュースでも伝えていますが、米国では新型コロナウイルス(Covid-19)の影響を受けた企業に対する広範な支援策が政府によって行われていて、PPP(Paycheck Protection Program)というプログラムでは、一定の要件を満たせば2.5ヶ月分の運転資金が貸与され、返済が免除されるという条項も設定されています。

メディア業界でも、これを受け取ったという話が次々に伝えられています。既に記事でお伝えしたシアトル・タイムズが990万ドルを得たという例以外にも、新聞社ではタンパベイ・タイムズが850万ドル、デジタルメディアでも新興パブリッシャーのAxiosが500万ドルを受け取ったことを明らかにしています。

既に何度もお伝えしているように、新型コロナウイルスの感染拡大によって欧米のメディアは大打撃を受けています。タンパベイ・タイムズでも広告収益が半分になり、発行日数を削減、従業員のレイオフや給与削減に踏み切っています。

しかし報道の独立という観点から疑問視もされているようです。AP通信は、「政府のお金を受け取るというのは報道機関の独立から忌避されてきたが、生死を賭けた場面では態度は変わるようだ」とコメント。上記に挙げた3つのメディアでは、その内容を詳細に読者に伝え、独立性を損なわないと主張していますが、読者はどう受け取るでしょうか。

別の角度から、DIGIDAYの編集長であるBrian Morrissey氏は「PPPはおかしい。VCから3000万ドルを集めたようなAxiosが資金を受け取って、話を聞いた沢山の独立系メディアは受け取れないでいる」と批判的なツイートをしています。

PPPは取引銀行経由での申請となるため銀行での混乱や、制度自体にも申し込みが殺到していることから、全てがスムーズに動いているわけではなさそうです。

2週前のNewsletterで触れましたが、業界団体などは政府に支援を求めています。

政府からの支援と、報道機関の独立性のジレンマについては議論があるところだと承知していますが、私としてはPPPのような全国津々浦々の企業に対する非常時の支援を受け取ることは、そこの審査に恣意性がなければ、受け取ることは問題が少ないのではないかと考えます。一方で、業界団体が要求し、メディア業界に特化した支援策を引き出すことは政治との関係性でより問題が大きいのではないかと考えます。

皆様はどうお考えでしょうか?

今週の人気記事トップ10 C Channelが上場承認も

今週最も人気を集めたのは、C ChannelがTOKYO PRO Marketに上場するというニュース。動画メディアの先駆けとして常に注目を集めてきた同社の開示された数字も大きな赤字が継続していて、なかなか厳しいものでした。そして市場がTOKYO PRO Marketという急成長ベンチャーには異例の市場だったことも注目されました。今後どのような戦略を取るのか注目されます。

1. 動画メディアのC Channel、異例のTOKYO PRO Market上場へ・・・直近時価総額は約240億円

2. コロナで人の行動はどう変わった? グーグルが世界中の行動分析データを公開・・・日本も都道府県別に確認可能

3. 新型コロナウイルスの影響でキー局のロケ・収録の中止が相次ぐ・・・各局の対応まとめ

4. ベクトル通期予想を下方修正、メディア事業を再度減損・・・次期予想はレンジで開示

5. エブリーの2019年6月期業績、純損失は約24億円

6. INCLUSIVEが「枚方つーしん」運営会社を子会社化・・・地域メディアサービスの強化を図る

7. ユーザベースがミーミルを完全子会社化・・・専門家の知見で企業の意思決定を支援

8. サイバーエージェントがエンタメ産業収益化のデジタルシフト支援専門会社「OEN」を設立

9. 「HOME’S」など運営のLIFULLの9月期、新型コロナウイルスの影響で9割減益予想

10. コーディング知識ゼロで雑誌のようなリッチなビジュアル表現ができるCMSツール「Scrmbl」が登場

会員限定記事から 特集記事が人気を集める

4月特集「新型コロナウイルス感染拡大、メディアやプラットフォームが果たすべき使命は?」がスタートしました。最も人気を集めたのは、吉本興業グループのVERSAS代表を務める山口氏へのインタビュー記事。緊急事態宣言前からライブや公演のキャンセルが多数発生していて、苦境に陥っているライブ・エンタテインメント業界の現状について聞きました。来週も複数の記事を予定していますのでお楽しみに。

1. 【特集】ライブ・エンタテインメント業界に迫る危機・・・コロナで業界全体が存亡の危機に

2. 雑誌広告で読者のアクション回数を保証する新商材・・・「PEOPLE」などを発行する米メレディスが「売上保障」を拡充

3. 【解説】アリババが総力を挙げた新型コロナウイルスとの戦い、100ページの報告資料を5000文字で読み解く

4. 米国公共広告協会、コロナ対策でPMPを発表…メディアは在庫の寄付が可能に

5. 【特集】感染者数統計や感染事例マップなど次々に新プロダクトを投入、メディアの力でコロナと戦うJX通信社・米重社長に聞く

6. Googleが画像とテキストから簡単に動画が作成できるツール「Video Builder」を発表

7. 【特集】「audiobook.jp」運営のオトバンク久保田社長に聞くリモートワーク実践術

8. 「Shufoo!」「Mapion」を展開する凸版印刷グループ ONE COMPATH・早川社長が考えるメディアの未来

9. 「ジャーナリズム緊急支援基金」をGoogleが創設・・・新型コロナウイルスへの対応で日本も対象

10. 【特集】「3.11から始まったLINEに何ができるか」withコロナを支える”情報インフラ”の舞台裏

編集部からひとこと

約1ヶ月間、完全リモートワークが続き、食料品の買い出しも週に1,2度になり、殆ど外に出ない生活を送っています。これは健康に悪いよなあと思って、オススメされたシャオミの「Mi Fit」というスマートバンドを購入してみました。手首に付けておくだけで歩数や睡眠、心拍などを記録してくれ、スマホアプリで簡単にチェックできるというもの。4000円という価格で、なかなか高性能です。

数日付けていると、1日の歩数は1000歩に満たないことが判明。これはなかなかまずいですね。一方睡眠は深夜まで起きがちなのですが、質は上位10%に入る快眠だということが分かりました。よく寝る方だと思ってましたが、いい感じに寝ていることが分かって少し安心です。手につけている感覚もようやく慣れてきましたので、暫く試してみようと思います。(Engadgetのレビュー)

2,773ファンいいね
226フォロワーフォロー
2,437フォロワーフォロー

【10月12日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

最新ニュース

Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

関連記事

Advertisment ad adsense adlogger